今日は、自民党の浜田幸一議員が国会で、宮本顕治・日本共産党書記長が「人を殺した」と発言した日だ。
いわゆる「宮本顕治人殺し」発言。
国会は一時騒然となった。
昭和63年（1988年）2月6日の衆議院。
日本共産党の正森成二議員が、自民党政権の過激派への対応は「泳がせ政策ではないか」との趣旨の発言をした。
竹下登総理は「泳がせ政策などをとったことはない」と答弁した。
この答弁に対し正森議員は、昭和59年（1984年）の中核派による自民党本部放火事件に関して、浜田幸一予算委員会委員長が「責任は中核派を泳がせていた我々にある」とテレビ番組で発言したと指摘。
浜田委員長はこの発言を認めた。その上で「我が党は旧来より、終戦直後より、殺人者である宮本顕治君を国政の中に参加せしめるような状況をつくり出したときから、日本共産党に対しては最大の懸念を持ち、最大の闘争理念を持ってまいりました」と述べた。
正森議員は激昂したが、やり取りは打ち切りとなった。
委員会終了間際に突如、浜田委員長が質疑中の正森議員に対して、以下の発言をした。
昭和八年十二月二十四日、宮本顕治ほか数名により、当時の財政部長小畑達夫を股間に……針金で絞め、リンチで殺した。このことだけは的確に申し上げておきますからね。
私が言っているのは、ミヤザワケンジ君（「宮本顕治」の誤り）が人を殺したと言っただけじゃないですか。
これは日本共産党スパイ査問事件についての発言である。
正森議員らは発言の撤回を求めて抗議。委員会室は一時騒然となった。
NHKはこの模様を生放送していたが、時間の都合上番組を打ち切った。
NHKには苦情が殺到した。
日本共産党スパイ査問事件とは、当時日本共産党中央常任委員であった宮本顕治らが、党中央委員の大泉兼蔵と小畑達夫を特高警察のスパイだとして査問した事件。
大泉兼蔵が死亡し、小畑達夫も負傷した。
昭和8年（1933年）12月23日、宮本らは「大泉と小畑にスパイ容疑がある」として査問処分を行うことを決定。二人を渋谷区内のアジトに誘い出した。
その後、1カ月近くに渡り両名を監禁して査問を行った。査問とは、リンチ・拷問のこと。
翌年1月15日、近所の住民から「助けてくれえ！」という叫び声を聞いたとの通報が警察に寄せられた。警察官が現場に行くと、大泉が射殺されようとしていた。小畑の遺体も発見された。
尋問を行った逸見重雄によると、彼らに加えられた暴力行為は以下のようなものだったという。
最初に、大泉に対して棍棒で殴打するなどのリンチを加え気絶させた。その後、小畑を引きずり出し、キリで股を突き刺したり、濃硫酸をかけるなどの凄惨な拷問を加えた。
最後に、薪割で小畑の頭部に一撃を加えた。そして大泉を引き出して小畑同様のリンチを加えた。
宮本顕治は無期懲役となり、加担した日本共産党員5人が懲役（2年～13年）となった。
宮本は網走刑務所に収監されていたが、昭和20年（1945年）10月にGHQからの命令により釈放された。
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