NASA(米国航空宇宙局)の無人探査機「ニュー・ホライズンズ」は明日元旦、探査機としては史上最も遠い天体「2014 MU69」に約3540kmまで接近、観測する見通しである。
最接近するのは日本時間で平成31年1月1日午後2時33分(現地時間:午前12時33分)ころ、NASAはそのときの管制の様子などを「NASA TV」でライブ中継する予定である。
情報元:NASA New Horizons (@NASANewHorizons) | Twitter
2014 MU69 は、冥王星の平均軌道より遥かに外側にある天体である。太陽からの距離は約65億kmで軌道周期は約293年。光度と距離から、直径は30~45kmと推定されている。「アルティマ・スーリー(未知の平和)」という愛称がある。
無人探査機ニュー・ホライズンズ(想像図)、出典:Wikipedia
ニュー・ホライズンズ (New Horizons)とは、NASA(アメリカ航空宇宙局 )が打ち上げた無人探査機である。
目的は冥王星を含む太陽系外縁天体(海王星軌道の外側を周る天体)での探査だ。
質量は465kg、電力は原子力電池240W。原子力電池を搭載しているのは太陽電池を使えないためである。
冥王星探査で取得したデータを地球に送った時には、64Gbit(8GB)相当のメモリに蓄積して、数ヶ月かけて地球へ送った。
ニュー・ホライズンズは最もスピードのある探査機である。現在、時速5万kmほど速度で、天体「2014 MU69」に接近中である。今どの辺りを飛んでいるのかは、下のサイトから確認することができる。
ニュー・ホライズンズの場所⇒New Horizons: Beyond Pluto
ニュー・ホライズンズの軌跡は以下のとおり
・2006年1月19日:フロリダ州のケネディ宇宙センターに隣接するケープカナベラル空軍基地第41番発射台から、ロッキード・マーティン社製アトラスV型ロケットで打ち上げ
・2006年4月 7日:火星軌道を通過
・2007年2月28日:木星に最接近。前後の数日間に木星の小赤斑、エウロパ、ガニメデ、イオを撮影
・2008年6月 8日:土星軌道を通過
・2011年3月18日:天王星軌道を通過
・2014年8月25日:海王星軌道を通過
「冥王星の探査」については以下のとおり
・2015年1月15日: 冥王星の観測を開始したと発表
・2015年2月 5日:1月25日に撮影した冥王星と衛星カロンの画像を公開
・2015年2月14日:冥王星探査開始
・2015年7月 4日:通信途絶が発生、回復後も一部の機器しか動作しない状態(セーフモード)に陥る
・2015年7月 7日:セーフモード状態から復旧し、観測を再開
・2015年7月14日:冥王星に接近通過、冥王星と衛星カロンを撮影
・2016年1月まで :冥王星とその衛星を観測
・2016年10月25日:全てのデータを受信完了
ニュー・ホライズンズは2019年1月1日、 太陽系外縁天体「2014 MU69」に最接近する。その際に調査をするがデータが届くのは数カ月後の予定である。
そして、その後は太陽系を脱出する。
ニュー・ホライズンズは時速5万kmの超高速で飛んでいるが、ここまで来るのに13年近くかかった。まだ、太陽系内である。
宇宙と比べると、人間はちっぽけな存在である。
<平成31年1月2日、情報追加>
NASA(米航空宇宙局)は1日、無人探査機「ニュー・ホライズンズ」が人類の探査史上、最も遠い天体「2014 MU69」に到達したと発表した。
13年近くの時間をかけ、人類が造ったものが太陽系の最も遠い場所まで辿り着いた。
NASAは同日、「ニュー・ホライズンズ」から送られたきた最初のデータを無事に受信したことも発表した。天体「2014 MU69」に約3500kmまで近づき、高解像度カメラなどで観測を行った。撮影された撮影画像が地球の届くまで数日かかる見込み。NASAは入手した映像を順次公開する予定である。
太陽系の歴史解明につながる成果が期待されている。