米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0・25%引き下げ、年1・75~2%にすることを決めた。
10人の委員のうち7人が賛成。反対票を投じた3人のうち、2人は現状維持を、もう1人は0・5%の引き下げを主張した。
前回7月のFOMCでは約10年半ぶりに利下げに踏み切っており、今回はそれに続く措置。
FRBのパウエル議長はFOMC終了後の記者会見で、更なる利下げについて「私たちは慎重に見極めていくつもりだ」と述べた。
次回10月末のFOMCで、更なる追加利下げが行われるかは微妙。
Jay Powell and the Federal Reserve Fail Again. No “guts,” no sense, no vision! A terrible communicator!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) September 18, 2019
トランプ米大統領は18日、利下げが小幅だったことについて「パウエルと米連邦準備制度理事会は再び失敗する。 『根性』も、感覚も、先見の明もない!ひどいコミュニケーター!」とTwitterで批判した。
トランプ氏は大幅な利下げを主張していた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長(左)とトランプ米大統領(右)
政策金利とは、中央銀行が金融政策の目的で設定する金利のことである。 「誘導目標金利」ともいう。
政策金利を上げると、企業や個人がお金を借りる際の利息も上がる。経済活動は抑制され、物価は下がる。景気が過熱したときに行う政策である。
一方、政策金利を下げると、逆の現象が起きる。経済活動は活発となり、物価は上がっていく。不景気のときに行う政策である。
米国が政策金利を下げたということは、景気が悪いのかというと、そういう訳ではない。支那との貿易摩擦が激化することによる景気悪化を見越した「予防策」としての側面が強い。
現在、米国は支那からの輸入品に追加関税をかけているが、これは経済だけの話ではない。本質は世界の覇権国争いだ。
昨年、支那のGDPは米国の7割近くにまで増大した。米国は自国の脅威となりそうな国を事前に潰してきた。日本も理不尽な要求を突き付けられ、痛い目にあった歴史がある。
来年には米国の大統領選挙がある。
景気の動向、特に失業率は選挙に大きな影響を与える。トランプ氏は立候補を表明しているが、景気が良いと現職大統領には圧倒的に有利となる。
トランプ氏が敗れ民主党の大統領が誕生した場合、米国は今までのように支那に対して毅然とした態度はとらなくなる可能性がある。前米国大統領のオバマ氏がそうだったように。
日本にとって、支那の経済力・軍事力がこれ以上強くなるのは由々しきことだ。
国際政治というのは様々な要素が複雑に絡み合うので単純には言えないが、米国が利下げをすれば、日本の安全保障上プラスに働く可能性が高い。米支貿易摩擦により消費が落ち込み短期的に日本の利益が減ったとしても、支那の経済力が弱まるのは日本の国益になる。
経済というのは政治と深く関わっている。特に軍事と外交。
「経済と政治は別」という台詞をはく連中は、敵か無知な者である場合が多い。