日本銀行(日銀)は16日、18~19日に予定していた金融政策決定会合を前倒しで開催し、金融緩和の強化を決定した。
金融政策決定会合の前倒しは初。
平成28年7月以来3年8カ月ぶりに、追加の金融緩和策を行う。
企業金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点から、以下の3つ政策を行う。
- 一層潤沢な資金供給の実施
- 企業金融支援のための措置
- ETF・J-REITの積極的な買入れ
日銀の黒田東彦(くろだ はるひこ)総裁は会合後に記者会見し、「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と述べた。
リーマン・ショックの際の金融危機とは、性質は異なるとの認識を示した。
新型コロナウイルス感染症については、「時間差で世界に広がっている。内外経済への影響の大きさ、期間については不確実性が大きい」と述べた。
今回、日銀が行なう政策は3つ。
①一層潤沢な資金供給の実施
円資金に関しては、積極的な国債買入れなどにより潤沢な供給に努める。マイナス0・1%の政策金利は維持。
米ドル資金に関しては、米国や英国、EUなどの中央銀行と協調。資金供給オペレーションについて貸付金利を0・25%引き下げるとともに、これまでの1週間物に加え、3か月物を週次で実施する。
②企業金融支援のための措置
民間銀行に対し、金利0%で最長1年の資金を提供する仕組みを導入する。
民間企業に対しては、コマーシャルペーパー(無担保の約束手形)や社債の追加買い入れ枠を2兆円拡大する。
企業金融支援は9月末までの時限措置。
③ETF・J-REITの積極的な買入れ
ETF(上場投資信託)については当面、買い入れ目標を年間約12兆円に倍増する。
J-REIT(日本版不動産投資信託)も、同様に1800億円に倍増。
情報元:新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について | 日本銀行
日銀は初めて、金融政策決定会合を前倒した。この時点で、新型コロナウイルス感染症の拡大に危機感を持っていることが伺われる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、1・0%の大幅利下げに踏み切った。政策金利は「0~0・25%」となり、4年ぶりに「ゼロ金利政策」となった。円高に振れやすい状態だ。
日本の景気は先行き不透明である。
日銀ができる景気対策はもうほとんどない。
政府ができることは、減税や財政出動,,,