住友商事は17日、 オーストラリアの「ロレストン炭鉱」の権益を売却すると発表した。
同炭鉱は、主に石炭火力発電の燃料となる「一般炭」を生産しており、住友商事が12.5%分の権益を保有している。
権益は、同炭鉱に出資するスイスの資源商社グレンコアに売却する。売却額は非公表。
住友商事は今年5月に公表した経営計画で、⼀般炭鉱⼭権益の新規取得は⾏わず、令和12年(2030年)に⼀般炭鉱⼭持分⽣産量ゼロを⽬指すとした。
気候変動問題に対応し、住友商事が石炭関連資産を売却するのは初めて。
ロレストン炭鉱の採掘現場
ロレストン炭鉱は、オーストラリア東部のクイーンズランド州にある。
令和2年(2020年)度の一般炭生産量は1,240万トン。採掘作業が開始されたのは平成17年(2005年)。
住友商事、グレンコア、ウィンフィールドエナジーが共同所有している。
大手商社は相次ぎ、一般炭の権益を手放したり、縮小させている。
住友商事はオーストラリアで「クレアモント鉱山」の権益も持つが、こちらは令和12年(2030年)までに採掘を終える予定。
伊藤忠商事は令和5年(2023年)度までに、一般炭から完全撤退する。主力だった南米コロンビアの権益は手放した。
三菱商事と三井物産は、全ての一般炭権益を売却済。丸紅も現在、権益は保有していない。
石炭火力発電の燃料となる「一般炭」の日本への輸入は、急速に減少している。
今後、石炭火力発電所の多くが、廃止や停止になるとみられる。
脱石炭火力は世界的な流れである。だが、口で言うほど簡単なことではない。