米国のメリーランド大学は10日、遺伝子操作により拒絶反応が起きにくくしたブタの心臓を、重い心臓病の男性患者に移植したと発表した。
ブタの心臓のヒトへの移植は世界初。
10日時点で、患者の容態は安定しているという。
遺伝子操作したブタの心臓、移植前の様子、メリーランド大学提供
メリーランド大学の医療チームによると、移植を受けたのは不整脈で入院している57歳の男性。
症状が重いため通常の心臓移植は不可能。人工心肺装置により延命していた。
ほかの治療法では回復が見込めない状態だったため、米食品医薬品局(FDA)が昨年12月末、今回の移植を緊急許可した。
移植に使われたブタの心臓は、再生医療の実用化をめざしている米国企業が作製した。
ヒトの体内に移植後に過度の成長を抑えるため、計10か所の遺伝子を操作。拒絶反応を起きにくくした。
移植手術は今月7日、約8時間かけて行われた。
3日後の10日現在、患者の容体は安定しているという。
ただし、手術を行った医師は「手術は成功し見た目も正常だが、明日はどうなっているかはわからない」と述べた。
動物の遺伝子を操作して、ヒトに移植できる臓器を作製研究は、各国で進められている。
特にブタの臓器は大きさや機能がヒトに近いため、最有力とされている。
医学的には、非常に大きな成果と言える。今後は、免疫による拒絶反応をどれだけ抑えることができるかが重要となる。
臓器移植を待っている患者は多い。
今回の移植が、そういう人達の希望となってくれることを...筆者は願う。