金融庁は10日、株式会社ローソンの子会社である株式会社ローソン銀行(以下「ローソン銀行」)に対し、銀行業の免許を付与した。
銀行の新規参入は、2011年に大和証券グループ本社が100%出資する株式会社大和ネクスト銀行が参入して以来7年ぶりとなる。
また、流通業界としては、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、イオン株式会社に続き3社目となる。
ローソン銀行の概要
・商号:株式会社ローソン銀行
・本店所在地:東京都品川区大崎二丁目1番1号
・株主:株式会社ローソン(95%)、株式会社三菱UFJ銀行(5%)
・銀行開業日:2018年 9月10日(予定)
・お客さま向けサービスの開始日:2018年10月15日(予定)
・事業概要:ATM事業、リテール事業(預金、為替、インターネットバンキングなど)
ローソン銀行がサービスを開始しても、ローソン自体は何も変わることはない。
現在、ローソンにあるATMは、一台ずつ管理銀行が異なる。外側の機械はローソン関連会社が用意し、運営は他の銀行に任せている方式だ。
まずは、この他の銀行がやっているATMの運営を、子会社を作り、そこにやらせる予定だ。
ローソンにあるATMは、店ごとに利用時間や手数料、使えるカードなどサービスが微妙に違う。これらの違いはほとんどなくなるだろう。
ローソン銀行は、これからサービスを開始までに、全店舗のATMを取り替える必要がある。
同じ流通業で2001年、最初に銀行業界に参入した株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、子会社の「株式会社セブン銀行(以下「セブン銀行」)」が銀行業務を行っている。(ただし、2018年3月末の株式保有率は45.78%)
このセブン銀行が相当の収益をあがている。
2018年3月期の有価証券報告書によると、連結経常収益1,276億円、連結包括利益246億円、連結純資産1兆224億円である。
これは信用金庫や地方の弱小銀行を遥かに上回る数値だ。セブン銀行の収益力は、現在日本の銀行業では20位前後だろう。
現在、イオン株式会社は、国内外に約260の企業で構成される「イオングループ」を構成する純持株会社だ。
純持株会社とは、各社の株式を所有することにより、それらの会社の事業活動を支配することを主事業とする会社である。更に、自社は営業は全くせず、主な利益は各社からの株式配当となる。
イオングループで銀行業務を行っているのが「株式会社イオン銀行(以下「イオン銀行」)」だ。
イオン銀行もそれなりの利益をあげている。
2018年3月期の有価証券報告書によると、連結経常利利益121億円、連結純利益80億円、連結純資産2,727億円だ。
なお、イオン銀行は、ローソンのATMの運営も一部行っている。
ローソン銀行は、大きな失敗をしなければ、そこそこ成功するだろう。
セブン銀行には遠く及ばないだろうが、イオン銀行くらいの連結純利益をあげることは不可能ではない。
こらからも他業種からの参入が少しはあるだろう。
しかし、流通業と連携した銀行やネットバンクなどが普及する一方、従来どおりの銀行、特に地方の弱小の銀行や信用金庫などは経営が苦しくなってきている。
5年後には、地方銀行の数が半分以下になるという予想もある。
IT(情報技術)の進歩や社会構造の変化により、銀行もその業務形態を変えてきている。
多くの地方銀行や信用金庫などが、これから数年で、統廃合によりなくなるだろう。
諸行無常(しょぎょうむじょう)である。