財務省は3日、平成29年度の「年次別法人企業統計調査 概要」 を発表した。
企業の利益剰余金(金融業、保険業を除く)は、446兆4,844億円で過去最高となった。前年度(406兆2,348億円)を40兆2,496億円上回り、増加率は9.9%(前年度7.5%)となった。
資本金階層別の増加率をみると、10億円以上の階層は10.5%(同7.6%)、1億円~10億円の階層は8.9%(同5.9%)、1,000万円~1億円の階層は8.4%(同5.6%)、1,000万円未満の階層は21.0%(同42.8%)となった。
出典:年次別法人企業統計調査 概要 -平成29年度- | 財務省
利益剰余金とは会計用語だ。
資本から負債を引いたものを「純資産」と言う。手許に現金が150万円あり、借金を100万円していたら、純資産は50万円だ。
純資産は、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」に分類される。
利益剰余金とは、損益取引から生じた剰余金だ。企業が活動することにより得られた利益で、まだ処分されていない部分をいう。株主への配当などは主に利益剰余金から行われる行われる。
利益剰余金は、新聞やテレビなどでは「内部留保」と言われることが多い。
簡単に言うと、企業が金を過去最高に溜め込んでいるということだ。
現在、日本経済の最大の課題はデフレだ。
デフレとは、「デフレーション」の略で、物価が持続的に下落していく経済現象を指す。
その反対はインフレ(正確には「インフレーション」)だ。
IMF(国際通貨基金)によると、日本のインフレ率は、2016年が-0.11%、2017年が0.47%、2018年は1.12%の予測だ。
高度経済成長をするためには、5~8%程度のインフレ率が必要だ。
政府は2%以上のインフレ率を目標としている。
経済成長をするには少々不足だが、この目標すら厳しいのが現実だ。
達成には数年かかるだろう。
デフレの時に行う政策は主に以下の4つだ。
①量的緩和(市中出回るお金を増やす)
②政策金利の引き下げ
③公共事業の増加
④減税
①と②は中央銀行(日本の場合「日銀」)が行う。
③と④は政府が行う。
①と②に関しては、対応ができている。
問題は③と④だ。
公共事業に関しては増えたとは言い切れない。
確かに、平成31年度の概算要求(各省庁が必要な予算額を財務省に示す額)は増えた。
しかし、社会保障費の伸びが多い。
防衛費や災害対策費をもっと増額できればいいのだが。
これらの公共事業が増えれば、企業は仕事を行うために金を使う必要がでてくる。企業が「売上」を増やすということは「費用」を使う必要がある。
つまり、今までより金もたくさん使うことになるのだ。
減税に関しては全くダメだ。
2019年10月に消費税が現在の8%から10%に増税される。
消費税の増税は、デフレとGDPの減少を招く。
デフレは金の価値が高くなるので、もちろん、企業は金を使わなくなる。
インフレ率が2%を確実に超えるまで、消費税の増税は凍結すべきだ。
企業の利益剰余金は、これから更に増えることが予想される。
企業の財布の紐(ひも)は硬い。