総務省は30日、平成29年分の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)を公表した。
政治資金収支報告書とは、日本の政治団体の収入、支出及び保有する資産等について記載した報告書である。
原則として対象年度の翌年3月31日までに、総務大臣または各都道府県の選挙管理委員会に提出することが義務付けられている。
1年間のすべての収入と支出、更に、12月31日現在に保有する資産等について記載する。
なお、収入に関しては、同一の者から年間5万円を超える寄附を受けた場合、また1000万円以上の収入のあった政治資金パーティーを開催した場合などは、その詳細を記載する義務がある。
平成29年分の政治資金収支報告書には、平成29年1月1日~12月31日までのすべての収入と支出、平成29年12月31日時点での資産等が記載されている。
平成29年分の政治資金収支報告書の各政党の収入、出典:総務省
「平成29年分の政治資金収支報告書」の提出義務がある政党本部は、9政党である。
また、それぞれの政党本部の収入は以下のとおりである。
各政党本部の平成29年の収入総額
自由民主党 :258億5759万円
日本共産党 :212億6555万円
公明党 :120億5268万円
民進党 : 90億4399万円
希望の党 : 20億6932万円
日本維新の会: 17億9863万円
立憲民主党 : 12億5040万円
社会民主党 : 9億 605万円
自由党 : 4億5179万円
情報元:総務省
希望の党(法人番号5013305002705)は、平成29年9月25日に、小池百合子東京都知事と小池氏に近い議員が中心となってに結成された。旧民進党出身者が多かった。平成30年5月7日に解党している。現在の希望の党(法人番号9010005028564)とは別の政党である。
立憲民主党の設立は、平成29年10月3日である。
なお、国民民主党の設立は平成30年5月7日であるため、「平成29年分の政治資金収支報告書」を提出する時点にはまだ存在していない。
政党本部の収入額の多い4政党、総務省の情報より作成
政党本部の収入の内訳は、政党交付金(42%)と事業収入(35.5%)が圧倒的に多く、この2つで全収入の8割近くを占めている。
その他には、寄付(5.7%)や党費(2.8%)などがあるが、その割合は少ない。
政党交付金とは、政党の活動を助成する目的で国庫から交付される資金である。
国民1人当たり年間250円である。
平成29年は総額317億7368万円だった。
これを「政党交付金の交付の対象となる政党」で分配する。
政党交付金の交付の対象となる政党、①か②のいずれかに該当
①所属国会議員が5人以上
②所属国会議員が1人以上、かつ、次のいずれかの選挙における全国を通じた得票率が2%以上のもの
○ 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙又は比例代表選挙)
○ 前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)
○ 前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)
政党交付金の交付の対象となる政党は、平成29年は9政党であった。
事業収入というのは、政党の機関紙や書籍の販売などである。
この収入が1番多いのは共産党で179億9215万円、次に多いのが公明党で78億5891億円である。
この2党以外の政党は、事業収入はほとんどない。
政党交付金を抜かした各政党の収入
平成29年分の政治資金収支報告書を分析すると、ある面白いデータがでてくる。
政党交付金を抜かした場合だ。
自前での収益力が1番強いのが共産党である。
その次に強いのは公明党や自民党だが、共産党の半分以下の収益力しかない。
その他の政党はほとんど自前での収益力はない。
もし政党交付金が廃止されたら、相対的に、共産党の力が1番強くなる。
公明党も強くなるだろう。
その他の政党の力はすべて弱くなる。
自民党は恐らく企業などからの寄付金が大きく増える。
立憲民主党や国民民主党は、労働団体の影響力が今より強くなるだろう。
日本維新の会や社民党、自由党、現在の希望の党は解党になる可能性が高い。
「政党交付金を廃止しろ!」と主張する人がよくいるが、この恐ろしい事実を知ってほしい。