平成23年3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」から、昨日で8年の歳月が流れた。
現在、5万人以上の方が避難を続けており、仮設住宅での生活を強いられている方も3000人以上いる。福島県では震災前と比べ、人口が17万人も減っている。
復興のための課題は山積である。
先日、60代後半の夫婦2人暮らしのお宅に、仕事でお邪魔した時のことである。
仕事を終え世間話をしていたら、健康の話題になった。
何か気をつけていることがあるか尋ねたら、「福島産の食べ物は、口にしないようにしている」と答えたのだ。
理由を聞いたら、バラエティ番組にも出演しているT教授が、「福島産の食べ物は危険だ」と言っていたというのだ。
このような科学的根拠のないことを信じている人は意外と多い。
平成29年度の福島県産農畜産物の放射性物質検査の結果、原典:復興庁
福島県は農畜産物に対して、「世界一厳しいのでは?」と思われるほどの放射性物質検査を行っている。
米に関しては、全袋検査まで行っている。
そして、安全が確認された農畜産物のみを出荷している。
日本の食品中の放射性物質検査の基準値は100Bq/kg である。
これは世界の国々と比べると、非常に厳しいものである。
細かいことを言うと、算出方法の違いにより日本の数値は少し低くでる。しかし、その分を差し引いても、非常に厳しい基準であることに変わりはない。
福島県は農畜産物に対して、生産段階(産地・生産者)で3つの放射性物質検査、流通・消費段階で4つの放射性物質検査を行っている。
そして、その情報を公開している。
生産段階
①農林水産物のモニタリングの実施
・出荷・流通する農林水産物を検査
(福島県が実施)
②産地での調査
・出荷の有無に関わらず、県内で収穫されたすべての米を検査
・出荷前の果樹・野菜などを検査
(JA・出荷業者などが実施)
③加工食品の調査
・加工食品を検査
・食品製造業者の検査を支援
・商工会・商工会議所の自主検査を支援
(福島県が実施)
流通・消費段階
④流通する食品の調査(収去検査)
・国・都道府県・市などによる抜き取り検査
(国・都道府県・市などが実施)
⑤学校給食の調査
(福島県・市町村などが実施)
⑥日常食の検査
・県内7方部の一般世帯における食事1キログラム当たりの放射性物質の検査
(福島県が実施)
⑦家庭で育てた野菜等の検査
・放射能簡易分析装置を市町村の公民館や集会所などに設置
(福島県・市町村などが実施)
福島県は、以下のサイトで放射性物質検査の情報を公開している。
・これまでの放射性物質検査情報 - ふくしまの恵み安全対策協議会
・県内における自家消費野菜等の放射能検査 - 福島県ホームページ
福島県の農畜産物業関係者は、風評被害を払拭するため、想像を絶する努力をしている。
こららが実を結び、海外への輸出量は平成29年ころには震災前と同等以上の水準まで回復してきている。
しかし、まだまだ風評被害があることも事実である。
これだけの努力ができるのは、農畜産物の生産に、誇りを持っている方が多い証である。