海上自衛隊が今月2日、北朝鮮の「瀬取り」とみられる瞬間を捉えていたことがわかった。今回が12回目。(ただし、公表しているのは11回)
連合国(国連)安全保障理事会では、北朝鮮への経済制裁決議が10回採択されている。
平成29年12月に採択された「第2397号」は強力なものである。石油精製品(灯油やガソリンなど)の北朝鮮への輸出を、当時の年間およそ450万バレルから、年間50万バレル以下と90%近く削減するという内容が含まれている。
このため、北朝鮮は洋上での船舶間の物資の積替え(いわゆる「瀬取り」)により、石油精製品などを入手している。もちろん、瀬取りも禁止されている。
横付けしホースを接続している北朝鮮船籍タンカー(右)と 船籍不明の小型船舶、原典:自衛隊・防衛省
平成31年3月2日午前0時40分頃、北朝鮮船籍タンカーと船籍不明の小型船舶が、東シナ海の公海上(上海の南約390㎞の沖合) で横付けしているところを、海上自衛隊の補給艦「おうみ」(佐世保)が確認した。
両船舶は照明を点灯し、
北朝鮮船籍タンカーは「SAEBYOL(セビョル)号」(IMO 番号:8916293)。平成28年3月に連合国(国連)安全保障理事会により資産凍結の対象とされた船舶である。
北朝鮮船籍タンカー「SAEBYOL(セビョル)号」、 原典:自衛隊・防衛省
政府は連合国(国連)安保理決議で禁止されている「瀬取り」を実施していたことが強く疑われると判断。連合国安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会(専門家パネル)に通報するとともに、関係国と情報共有を行った。
拉致被害者の帰国は何としても実現させなければならない。
そのための最も現実的な選択肢は、北朝鮮への経済制裁である。平成14年(2002年)に初めて日朝首脳会談が行われ、拉致被害者5人が帰国した時、北朝鮮は経済的に追い込まれていた。
「瀬取り」の監視は、これからも続ける必要がある。