北海道大学電子科学研究所の相良剛光(さがら よしみつ)助教らの研究グループは、伸縮により白色蛍光のON/OFFを瞬時に、かつ可逆的に切り替えるゴム材料の開発に成功した。
伸縮で白色蛍光をON/OFFスイッチするゴム材料の概念図、原典:北海道大学
研究グループは「ロタキサン型超分子メカノフォア」の開発に成功した。伸ばすと蛍光し、縮める(戻す)と蛍光を止め、かつ何度でも蛍光が可能という特性がある。
白色蛍光は、青色・緑色・橙色の三種類の「ロタキサン型超分子メカノフォア」を、質量比8:16:5の割合で混ぜることにより作り出した。
情報元:引っ張ると白い蛍光を出すゴムの開発に成功 | 北海道大学
近年、「メカノフォア」と呼ばれる分子骨格の研究が盛んに行われている。力(機械的刺激)を受けると中央の共有結合が切れ、メロシアニンと呼ばれる分子構造に変化し、蛍光する。
しかし、既存のメカノフォアが蛍光するためには共有結合を切断する必要があるため、大きな力が必要で、可逆性にも乏しいという問題点があった。
ロキタンの模式図、出典:Wikipedia
研究グループは、「ロタキサン」に注目。
ロタキサンは、蛍光団を持つ「環状分子」と、蛍光団からの蛍光を消光するための消光団とストッパー部位を持つ「軸分子」の2分子で構成されている。大きなストッパー部位のおかげで、環状分子は軸分子から遠くに離れることはできない。
このロタキサンの特性を持つメカノフォア、「ロタキサン型超分子メカノフォア」を開発した。
青色・緑色・橙色及び白色の「ロタキサン型超分子メカノフォア」を導入したゴム素材を伸縮したときの蛍光状態、原典:北海道大学
研究グループが開発したゴム材料は、延縮率200%程度から蛍光を開始、600%程度で強く蛍光する。戻すと蛍光しなくなる。
白色発光をする材料は今まであった。しかし、力(機械的刺激)で白色蛍光をON/OFFスイッチする材料は今回が初めてだ。
今回の研究成果は、様々な材料におけるセンサーや、材料の受けるダメージの可視化・定量評価などへの応用が期待できる。
もしかしたら、数年後にあなたの近くにあるかも。