北海道大学の研究グループは、海水中で素早く強力に接着し、繰り返し使用可能な接着剤を開発した。
世界初だという。
接着剤の化学構造は「イガイ」の接着タンパク質を参考に設計された。
イガイ、原典:YouTube
イガイ(貽貝)とは、イガイ目イガイ科に分類される二枚貝の一種。
在来種で、北海道から九州まで広く国内各地に生息している。朝鮮半島や支那の沿岸にも生息している。
最大で殻長15cm、殻幅6cmほどにまで成長する。殻は厚く、表面は黒から黒褐色で、弱い光沢がある。殻頂はよく尖り、鷲鼻のように曲がっている。殻の内側は真珠層がよく発達しており、青灰色をしている。
食用として捕獲されている。
北海道大学が開発した海中で繰り返し使用可能な接着剤、出典:Nature Communications
研究グループは、イガイの接着タンパク質中では、プラス(+)に帯電したカチオン性部位と「芳香環(ほうこうかん)」と呼ばれる部位が隣り合って並んでいることに着目。
カチオン性部位と芳香環が隣同士に配置された高分子化合物を合成した。
この高分子化合物は海水中で接着剤として働き、石やガラス、プラスチックなどの様々な固体を強く、素早く接着させることができた。
接着強度は最大で約60kPa(接着面1m2あたり6tもの重さに耐える)と非常に丈夫で、更に、剥離と再接着を何度も繰り返すことができた。
研究グループは、カチオン性部位と芳香環がランダムに配列した高分子化合物も合成。しかし、上記のような強い接着は見られなかった。
海水中での強い接着は、カチオン性部位と芳香環が隣同士に配列した構造に由来することが分かった。
利用方法としては、海中作業における接着剤やシーリング材、また海中でのコンクリート硬化剤などが期待される。
日本は海洋国家であるため、このような技術の重要性は他国より高い。
新技術の開発には、独自の発想が必要な場合も多い。「イガイ」に目をつけたのはイガイである...(白目)
とにかく、素晴らしい発想である。