兵庫医科大学や国立環境研究所などの研究グループは、「子どもの健康と環境に関する全国調査」の約5万人のデータを用いて、父親の化学物質への職業性ばく露と出生児の性比について調査した。
その結果、父親が母親の妊娠前に週に1回以上殺虫剤を使用する職に就いていた場合、男児の生まれる割合が低いことがわかった。
お風呂に入れられ気持ち良さそうな赤ちゃん、原典:Business Insider Singapore
近年、先進国で生まれてくる子供は、男児の割合が低下してきている。
日本も例外ではない。昭和43(1968)~55(1980)年には出生女児100人に対して男児が106~107人であったが、昭和56(1981)年以降の男児は105~106人とわずかに低下している。
研究グループは、23種類の化学物質について調査を行った。妊娠が判明するまでの約3か月間、父親が仕事で半日以上かけて使用した頻度を回答してもらい、生まれてきた子どもの性別を調べた。
その結果、殺虫剤の使用頻度が高いほど、男児出生率が低いことが判明した。医療用消毒剤でも、男児出生率の低下がわずかに確認された。その他の化学物質では、変化は確認されなかった。
父親の化学物質の使用頻度別にみた、生まれた子どもの男児の割合、提供:国立環境研究所
仕事で殺虫剤を使用しない父親(42,185人)では男児出生率51・1%だった。
月に1~3回使用する父親(4,551人)では50・7%で、週1回以上使用する父親(659人)では44・5%と低かった。
使用頻度が高くなるほど、男児出生率が低くなるという結果がでた(上図の左)。
医療用消毒剤についても、週1回以上使用する父親(2,428名)では男児出生率48・9%と僅かに低くなっていた(上図の右)。
今回の研究は、初めて、父親の化学物質への職業性ばく露と出生児の性比との関連を報告したものだという。
ただし、血中の化学物質濃度などの客観的な指標は用いていない。殺虫剤の種類も調べていない。
なぜ、このような事が起きるのか不思議である。
殺虫剤は種類が豊富なため、成分を特定することは極めて難しい。
男性より女性の方が生命力が強いのだろうか?