英国のノッティンガム大学などの研究グループは、原子同士が結合したり分離したりする様子を、動画として撮影することに成功したと発表した。
映像で捉えたのは史上初!
原子同士が結合する際の「化学結合」は、ヒトの髪の毛の幅の約50万分の1という非常に小さな世界の出来事である。
原子が結合・分離している映像より、原典:YouTube
原子とは、荷電粒子を発生させることなく、物質を分割できる最小単位である。つまり、通常の化学的な方法で分割できる物質の最小単位。
原子は、原子核とマイナスの電荷をもつ電子からなる成る。更に、原子核はプラスの電荷をもつ陽子と電荷のない中性子で構成される(ただし、水素原子の多くは中性子をもたない)。陽子の数が原子番号となる。
研究グループは、原子番号75番のレニウム(Re)原子2つをカーボンナノチューブの中に入れ、原子の動きを制限することにより撮影に成功した。
撮影には透過型電子顕微鏡(TEM)が用いられた。原子より小さな粒子である電子線を対象物に当て、視覚化するという顕微鏡である。
研究グループが撮影したのが上の動画である。くっついたり、離れたりを繰り返し、動いている2つの黒い点が原子である。
動画では冒頭、2つのレニウム原子が画面の上・中央に現れ、結合して分子を形成する。その後、振動をしながら距離が離れていく。そして、再び、距離を縮めて結合し分子を形成した。
両原子間の距離がそれぞれの原子半径の合計を超えると、結合が切れて振動が止まり、原子は互いに独立する。一方、半径内に入ると結合する。
原子の人による視認は今まで何度も行われている。しかし、映像は不可能だった。原子は動きが非常に速いからだ。
これは歴史的な映像である!
筆者はいい年をして、朝から感動してしまった。