令和2年(2020年)7月1日、 ロシア連邦(ロシア)で憲法改正の是非を問う国民投票が行われた。
翌2日、同国の中央選挙管理委員会は結果を発表。
賛成が約78%で改憲に必要な過半数を上回り、改憲は成立した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領
この改憲の国民投票は、200以上もの改正項目を一括して賛否を問う方式で行われた。
最大の注目点は、プーチン大統領の続投が可能になったことである。
現憲法では、ロシア大統領の任期は4年で連続2期までだった。
改正憲法では、任期6年で通算2期までとなる。それとは別に、過去の大統領の履歴を無かったことにする条文がある。
次のロシアの大統領選挙は令和6年(2024年)、その次は令和12年(2030年)だ。プーチン氏は、最長で令和18年(2036年)まで大統領でいることが可能。
日本にとっては、これより重要な改正項目がある。
改正憲法では「ロシアの領土の割譲に向けた行為を認めない」との明記がある。ただ、「隣国との国境再画定は例外とする」とも付記されている。
これをどう解釈するか...
日本とロシアとの間には北方領土問題がある。
北方領土とは、歯舞群島(はぼまいぐんとう)、色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)及び内閣総理大臣が定めるその他の北方の地域。「北方地域」ともいう。
大東亜戦争以前は日本の領土だった。
昭和20年(1945年)8月28日から9月5日にかけて、ソ連軍は当時まだ有効であった日ソ中立条約を一方的に破棄し、北方領土に上陸・占領した。
その後、ソ連はロシアとなったが、北方領土の日本への返還は実現されていない。
ロシアの民間世論調査機関「レバダセンター」は平成30年(2018年)11月、北方領土を日本に引き渡すか否かの世論調査した。回答を得た約1,600人のうち「賛成」は17%だった。
他の調査でも、賛成は10~30%ほど。
令和元年(2019年)6月22日、ロシアのプーチン大統領は国営放送のインタビューに「北方領土を日本に引き渡す計画はない」と答えた。
ロシアの歴史は侵略の歴史だ。武力と金の力により、元々は小さかった国が領土を拡大していった。正確には、現在のロシア(ロシア連邦)とは別の国ではあるが。
このような国が領土返還に応じるとは思えない。
北方領土を取り戻すには、武力で奪い返すか、金で買い戻すしかないだろう。
マスコミのほぼ全ては、ロシア改憲で北方領土返還が困難になったという論調だ。
しかし、筆者は「ロシアが北方領土を返してくれる」という甘い幻想が消えただけだと思う。
皆さんはどう思う?