今日はインターネット記念日だ。
昭和44年(1969年)11月21日、インターネットの前身 ARPANET(アーパネット)で恒久的リンクが確立したことに由来する。
インターネットの起源は軍事技術である。
米ソ冷戦中の昭和32年(1957年)、ソ連は人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功した。米国を始めとする西側諸国に衝撃が走った。宇宙からの攻撃を全く想定していなかったからだ。
これに対抗するために米国が作った組織が「ARPA(アーパ)」である。現在の「DARPA(ダーパ)」にあたる。
当時の通信の仕組みは回線交換方式である。自分と通信相手が1本の線で繋がるため、どこかに不具合が生じると通信はできなくなる。
ARPAはパケット交換方式のネットワーク「ARPANET」を考案した。
パケット交換方式は、自分と相手が1本の線で繋がり続ける必要はない。どこかが壊れても、迂回して通信を続けることができる。
昭和49年(1974年)時点のARPANET、出典:Wikipedia
昭和44年(1969年)、ARPANETに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA)、スタンフォード研究所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校 (UCSB) 、ユタ大学の4カ所にあるコンピュータが接続された。
10月29日、UCLAからスタンフォード研究所へパケット通信が行われた。内容は 「login:」 というテキストだったが、「lo」 まで送信したところでシステムがクラッシュした。
約1時間後、システムを復旧させ、メッセージ全体の送信に成功した。
11月21日、UCLAとスタンフォード研究所の間で恒久的リンクが確立した。つまり、両拠点間で安定して通信ができるようになった。
11月21日が「インターネット記念日」となったのは、この成功に由来する。
12月5日には、UCSBとユタ大学のコンピュータも加わった。4つのコンピュータで相互に通信可能となった。
以降、ARPANETは拡大していき、昭和49年(1974年)6月には46台が接続した。
昭和50年(1975年)、ARPANETは稼働状態にあると宣言され、ARPAは手を引いた。
その後、世界中で多くのネットワークが乱立した。規格は独自のものばかりで、相互通信はできなかった。
この対策として、昭和57年(1982年)に「TCP/IP」という通信プロトコル(通信規約)が標準化された。
これにより「インターネット」という概念が生まれた。「TCP/IP」は現在のインターネットやLANの通信プロトコルである。
インターネットに限らす、軍事技術が民間転用される例は多い。そもそも、軍事技術と民間技術をわけることは不可能である。
「軍事目的のための科学研究を行わない」など、似非平和主義者の自己満足でしかない。