経済産業省は21日、エネルギー基本計画の素案を公表した。
電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は、2019年度実績で約18%、現行のエネルギー基本計画では2030年度に22~24%となっている。
今回の経産省の素案では、この再生エネ比率を「2030年度に36~38%」と大幅に拡大することを目標にあげた。
エネルギー基本計画:日本の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す計画。電力会社などに大きな影響を与える。おおむね3年ごとに見直され、閣議決定する。
再生可能エネルギー:利用する以上の速度で自然に再生するエネルギーの総称。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどを指す。
経済産業省は21日、同省で開かれた有識者会議で、新たな「エネルギー基本計画」の素案示した。
脱炭素社会実現に向け、二酸化炭素排出を大幅に削減するのが狙い。
素案では、2030年度の電源構成で再生可能エネルギーの割合を「36~38%」にするとした。3年前に策定された現在の計画では「22~24%」となっており、一気に10%以上引き上げた。
原子力の割合は「20~22%」と現在の計画と同水準。ただし、原発の新設や建て替えについては、現在の計画と同様に盛り込まれていなかった。
火力については、現在の計画の56%から41%へと大幅に減らすとした。
2019年度の電源構成(実績)
・再生エネ 18%
・原子力 6%
・火力 75%
2030年度の電源構成(現在のエネルギー基本計画での目標)
・再生エネ 22~24%
・原子力 20~22%
・火力 56%
2030年度の電源構成(経産省の素案での目標)
・再生エネ 36~38%
・原子力 20~22%
・火力 41%
素案での再生可能エネルギーの割合「36~38%」の内訳は、太陽光15%、水力10%、風力6%、バイオマス5%、地熱1%程度。
水力は現在8%程度なので、微増。
太陽光は現在の7%強から倍増、風力も1%未満から大きく増やす。バイオマスも3%弱から増加。
今回の経産省の素案は、火力発電を大幅に減らし、太陽光・風力・原子力を増やすというものである。現在のエネルギー基本計画より、太陽光・風力を重視している。
素案は意見(パブリックコメント)を経て、10月までには閣議決定され見通し。
筆者は経産省の素案を達成するのは、ほぼ100%不可能だと思う。原子力も、太陽光も、風力も、バイオマスも達成できないだろう。
ただ、これに近い数値で閣議決定となる可能性は高い。
なぜなら、パブリックコメントをするのは原発反対派の左翼ばかりで、保守はほとんどしないからだ。
実現可能性に欠ける計画など、立てるべきではない。