大相撲で歴代最多の幕内優勝45回を誇る横綱、白鵬(36)が現役引退を決めた。
令和3年9月27日、日本相撲協会に意向を伝えたという。
白鵬はモンゴル出身だが、親方になるために条件である日本国籍は取得済。引退後も角界に残り、後進を指導したいという。

白鵬は昭和60年(1985年)3月11日生、モンゴル国・ウランバートル市出身。
令和元年(2019年)9月3日に日本国籍を取得し、白鵬翔(はくほう しょう)となった。帰化前の名前は、ムンフバト・ダヴァジャルガル。
父親(故人)はモンゴル相撲の元横綱で、レスリングで同国初の五輪メダリスト。
18歳で新入幕を果たすと、22歳の若さで横綱に昇進した。36歳まで、歴代最長の14年間に渡り横綱を務めた。
幕内優勝45回、通算勝ち星1187勝、横綱在位84場所、年間最多勝10回など、数々の角界の歴代記録を更新した。
力士としては素晴らしい実績を残した白鵬だが、その行動は批判されることも多かった。
立ち合いでの張り手(ビンタ)やかち上げ(エルボー)、駄目押し、勝った時のガッツポーズなど粗暴が目立った。
観衆と万歳三唱や、三本締めを行ったこともあった。
平成20年5月場所千秋楽結びの一番では、両横綱の白鵬と朝青龍が取り組み後に睨み合うという事態が起きた。
朝青龍の引きに白鵬がバッタリ。その後、朝青龍は白鵬を転がすように駄目を押した。
憤然とした白鵬が起き上がる時に二人の体が接触し、一触即発の睨み合いとなった。

白鵬の行動を「横綱らしくないない」とか「横綱の品位を欠く」と批判した人は多かった。朝青龍も同様。
確かにそうではあるが、筆者はこれを異文化の衝突だと思う。
日本人の思う横綱像と、白鵬や朝青龍が目指した横綱像は違うのだ。
違う文化で育った人間には、簡単には超えられない溝があるのだ。
無慈悲な現実である。