バーゼル大学(スイス)のドミニク・デ・ケルヴァン教授らの研究グループは、クモに対する恐怖を軽減するスマートフォン用アプリを開発した。
臨床試験で既に効果は証明済。
不安や苦痛を克服するためには、恐怖を抱いている物や状況に対して、危険を伴うことなく直面させる「暴露療法(ばくろりょうほう)」が効果的である。
この治療法は、クモ恐怖症の克服にも有効だが、めったに使用されていない。
仮想のクモが映し出されたスマートフォンの画面、スイス・バーゼル大学提供
研究グループは、スマートフォンの画面に仮想のクモが映し出されるアプリを開発した。
暴露療法に基づくクモとの遭遇を、簡単に体験できるという。
研究グループは、クモ恐怖症の男女66人を対象に、2週間の臨床試験を実施した。
半数にはアプリで、6つのトレーニングユニットを体験してもらった。1つのトレーニングユニットの時間は約30分。
残りの半数は何もしなかった。
アプリで訓練をした人たちは、実際のクモと遭遇した際、恐怖と嫌悪感が大幅に少なくなったという。何もしない人たちより、クモに近づくことができた。
スマートフォン用アプリのこのような使い方は、斬新だと思う。
スマートフォンもインターネットも、良いものにするか、悪いものにするかは、使う人次第である。