米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は12日、同社を2つに分割すると発表した。
同社は現在、3部門による社内分業制度(社内カンパニー)をとっている。
昨年の売上高に占める割合は、医薬品部門が55%、医療機器部門が28%、消費者向け部門(コンシューマー製品部門)が17%。
このうち、消費者向け部門を切り離して新会社をつくり、上場させたいという。
J&Jによると、分離には1年半から2年かかるという。
発表を受け、J&Jの株価は上昇した。
ジョンソン・エンド・ジョンソン本社(米国・ニュージャージー州)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(英: Johnson & Johnson)は、米国・ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く企業。設立は明治20年(1887年)。
主要営業品目は、医薬品や医療機器、一般消費者向けのヘルスケア製品の製造・販売。
従業員数は世界で13万6000人超。
昨年度(令和2年1~12月)の売上高は825億ドル(約9兆3000億円)。
現時点の時価総額は約4300億ドル(約49兆円)で、トヨタ自動車の1・5倍ほど。
J&Jの経営陣は、高度なサービスの提供と高い収益性を維持するため、会社分割を決断したという。
アレックス・ゴースキー最高経営責任者(CEO)は12日、「消費者向け部門の分離は、患者や消費者、医療従事者へのサービス提供を加速させ、高い収益性と成長を促進する最善の方法です」と述べた。
消費者向け部門が扱っている製品には、救急ばんそうこうの「バンドエイド」、解熱剤の「タイレノール」、口臭防止剤の「リステリン」などがある。これらの事業が別会社に移行する。
処方薬やワクチンなどを扱う医薬品部門、手術用医療器具などを扱う医療機器部門は、そのまま残る。
大企業では近年、事業部門ごとに別会社とする動きが加速してきている。
J&Jの今回の決断は当然のことである。むしろ、遅いくらい。
J&Jから切り離される消費者向け部門(コンシューマー製品部門)は、はっきり言えば、付加価値の低い部門である。
技術というのは、遅かれ早かれ陳腐化する。
企業が生き残るのは楽ではない。