植物を原料としたプラスチックをアンモニア水で分解し、肥料となる尿素に変換するリサイクルシステムが開発された。
生成された尿素は、植物の成長促進につながることが確認できた。
研究グループは、プラスチックの一種「ポリカーボネート」がアンモニアによって劣化(加水分解)することに着目した。
完全に分解されると、化学肥料となる「尿素」に変換できる。
研究グループは、グルコース(糖)由来のイソソルビドを原料とした「ポリカーボネート」を合成した。
そして、その「ポリカーボネート」をアンモニアで分解し、その反応溶液の経時変化を調べた。
はじめは不均一な白色の溶液であったが、徐々に均一な溶液へと変化し、24時間後には完全に均一な溶液となった(下の写真)。
イソソルビドを原料とした「ポリカーボネート」のアンモニアによる分解実験(常温)、東京工業大学提供
研究グループは更に、様々な条件下で実験。
アンモニア濃度と反応温度を最適化したら、6時間以内に完全分解することに成功した。
また、得られた分解生成物(尿素とイソソルビドの混合物)を用いて、シロイヌナズナの生育実験も行った。
結果、尿素は肥料として働き、植物の成長促進につながることも実証できた。
研究グループは、アンモニア水を加熱するだけで反応を促進でき、高価な触媒を必要としないことが、同リサイクルシステムのメリットとしている。普及すれば、産業界への波及効果は大きいとみている。
また、「プラスチックの廃棄問題」と「人口増加による食料問題」を同時に解決する革新的なシステムとしても期待している。
筆者は興味深い研究だと感じた。
同時に「ポリカーボネートは普及しないのでは?」とも感じた。ポリカーボネートには、薬剤耐性が低いこと、高温高湿度下では加水分解すること等の欠点があるからだ。
どちらにしろ、こういう研究は続けてほしい。
国は活動家のような怪しい教授より、こういう研究者に金を出すべきである。