素人が新聞記事書いてみた

新聞記事のつもりでブログを書いています。

次世代原子炉「高速炉」開発、日米で技術協力合意

次世代原子炉(第4世代原子炉)のひとつ「高速炉」の開発で、日米が協力する。

日本原子力研究開発機構三菱重工業、三菱FBRシステムズは26日、米国の企業「テラパワー」と技術協力に向けた覚書を締結した。

 

高速炉とは、高速中性子(エネルギー値の高い中性子)による核分裂反応を利用する原子炉。

現在の原子力発電所より遥かに効率的で、使用済み核燃料から出る放射性廃棄物も少ない。安全性も高いとされる。

ただし、技術レベルは非常に高く、実用化は早くても2030年代。

 

「高速炉」と言った場合、通常は「高速増殖炉」と指す。

自然界のウランの割合は、原子力発電に「ウラン235」が0.7%、使えない「ウラン238」が99.3%ほど。

高速炉では、原子力発電に使えない「ウラン238」から、使える「プルトニウム239」を生産する。

 

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テラパワーが計画するナトリウム冷却高速炉及び施設のイメージ、テラパワー提供

 

テラパワーは2006年に設立された、次世代型原子炉の研究開発を行う企業。

本社は米国・ワシントン州筆頭株主ビル・ゲイツ氏(管理会社を通じて)。

 

テラパワーは将来的に、高速炉(高速増殖炉)実用化を計画している。

2024年に米国のワイオミング州で実験炉の建設を開始し、2028年の運転開始を目指している。

米国エネルギー省(DOE)も、約20億ドルを(約2300憶円)投じて支援する予定だという。

 

テラパワーが建設するのは「ナトリウム冷却高速炉」というタイプの高速炉。冷却材に液体金属ナトリウムを使い、減速材を使わない。出力は34万5000kW。

日本原子力研究開発機構保有する「常陽(じょうよう)」や「もんじゅ」と同じタイプ。

「常陽」は茨城県東茨城郡大洗町にある。2007年に炉内の実験装置が破損し、稼働を停止している。

もんじゅ」は福井県敦賀市にある。1995年に冷却材の金属ナトリウム漏洩による火災事故を起こした。その後に運転を再開したが、事後が続き、2016年に廃炉が決定した。

 

石炭火力発電の縮小により、世界的に原子力発電は見直されてきている。欧州連合EU)も今年に入り、原子力発電に「持続可能な経済活動」との方針をだした。

日本としては今回の協力により、高速炉(高速炉増殖炉)の技術力向上につなげたい意向だ。

 

日本の2019年度における電源構成は、石炭火力が31.8%、LNG火力が37.1%。原子力は6.2%で、水力を除く再エネが10.3%。

気候変動対策により、石炭火力は今後大幅に減少となる。LNG火力も減らすことになる可能性がある。これらを再エネで賄うのは、現在の技術では不可能。

原子力発電に頼るしか、日本には、いや世界の国々には現実的な選択肢がない。

 

次世代原子炉「高速炉」の技術、少しでも前進させてほしい...と筆者は願う。