ロシア外務省は21日、日本との北方領土問題を含む平和条約交渉について、中断する意向を表明した。
ロシア軍のウクライナへの侵攻に対し、日本政府が発動した制裁措置に反発した形だ。
ロシアのプーチン大統領
ロシア外務省は21日、「日本政府の決定への対応措置に関するロシア外務省の声明」を発表した。
ウクライナ情勢に関して、日本がロシアに対して一方に課した制裁に対して、以下の措置を講じるとした。
まず、我が国の利益を害しようとする国との議論は不可能とし、「平和条約について日本との交渉を継続するつもりはない」とした。
北方四島のビザなし交流や元島民らの自由訪問も停止。北方四島での共同経済活動に関する協議からもやめるとした。
全ての責任は「反ロシア的な行動をした東京(日本)にある」とし、日本側を非難した。
情報元:Заявление МИД России об ответных мерах на решения Правительства Японии | МИД
日本とロシアの平和条約交渉については、平成30年、安倍元総理大臣とプーチン大統領がシンガポールで行った首脳会談で、「日ソ共同宣言」に基づいて交渉を加速させることで合意した。
しかし、ロシアは「(北方領土が)ロシア領になったことを、日本がまず認めるべきだ」と主張。加えて、北方領土を引き渡した後に米軍が展開することへの懸念も示し、交渉は進展しなかった。
また、令和2年には、ロシアの憲法が改正され、他国への領土割譲が禁止された。
昨年に岸田内閣が発足した当初は、ロシアは交渉を継続するとしていた。
日本政府は先月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻するとロシアに対して制裁措置を発動した。プーチン大統領やロシア議員、軍幹部、軍事産業関連団体などの資産を凍結。貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」も撤回した。
この措置に対して、ロシアは態度を硬化。同国外務省は、北方領土について「日本の特定勢力は領有権の主張が実現される可能性を念頭に置いているが、そのような選択肢は忘れることを勧めたい」と表明した。
ロシアは北方四島を経済特区にし、外国企業を誘致する制策を決めている。つまり、「北方領土を返す意志などない」とみるのが妥当だ。
ロシアは今回、日本に対する外交交渉の最後のカードを切った。言い換えれば、ロシアは追い込まれているのだ。
日本は動揺せず、国際社会と連携し、やるべき事を粛々と進めればいい...と筆者は思う。