政府は、21日夜に東京電力管内、翌22日午前に東北電力管内において「電力需給ひっ迫警報」を発令した。
同警報が発令されたのは初めて。
両管内において、200~300万軒に及び大規模停電が起きる可能性があるとして、繰り返し節電を呼び掛けた。
停電が起きる事態は、ひとまず回避された。
消灯した東京スカイツリー(左)と東京タワー(右)、令和4年3月22日夜
今月16日、福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生。火力発電所6機が停止していた。
22日は悪天候のため太陽光発電の発電量が減少。加えて、気温が低下したため、暖房による電力消費が増加した。
東京電力は22日、他の電力会社から2回の受電を受けた。
1回目は午前7時から午後4時にかけ、東北・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の電力7社から最大141.78万kW。
2回目は午後4時から午後12時にかけ、北海道・中部・中国・四国・九州の電力5社から最大92.74万kW。
東京電力管内の電力不足は深刻だった。
22日午後2時台には、使用率が107%にまで達した。東電は緊急時の予備電源である揚水式水力発電所を稼働させた。
午後3時以降は、節電効果が大きくでた。大企業などの大口利用者が協力したためとみられる。
東京スカイツリーは平成24年の開業以来初めて、夜間のライトアップを終日取りやめた。東京タワーも営業時間とライトアップ点灯時間を短縮した。
東京ディズニーランドと東京ディズニーシーは自家発電の装置を稼働させ電力の一部をまかなった。
セブン―イレブンは約1万店で空調の設定温度を20度に下げた。イトーヨーカドーも両管内の約100店舗で売り場の空調や照明を調整し、節電に協力。イオングループも約310店で節電した。
日本製鉄の千葉県君津市と茨城県鹿嶋市にある製鉄所では、自家発電の出力を最大にまで引き上げ、東京電力に電力供給した。
日本製紙の埼玉県草加市と栃木県足利市にある工場、住友化学が千葉県市原市にある工場でも、東京電力に電力供給した。
これらの他にも、多くの企業が節電に協力した。
原子力発電を停止し、石炭火力発電も減少させた時点で、このような事態が起きることは予想されていた。
電力各社は今まで、廃棄する予定だった設備を再稼働させたり、電力を互いに融通したりして、何とか電力供給していた。
電力需給ひっ迫は今日、23日も続くとみられる。
電気を使えるのは当たり前のことではない。
ワガママばかり言っている連中は、一度、痛い目にあわないと懲りないだろう。