天皇陛下は12日、皇居内の水田で、恒例のお稲刈りをなされた。
陛下は開襟シャツにズボン姿で、春に自らがお植えになられた、もち米の「マンゲツモチ」と、うるち米の「ニホンマサリ」計100株を、慣れた手つきでお刈り取りになられた。
残りの稲も後日、お刈り取りになられる。
皇居内での稲作は、昭和天皇からお引き継ぎになされた行事である。正式な儀式という訳ではない。
陛下は来年4月30日に譲位をお控えになられており、お稲刈りをなされるのは今回が在位中では最後となられた。
収穫された稲は、神嘗祭(かんなめさい)や新嘗祭(にいなめさい)で神前に供えられる。
出典:宮内庁
神嘗祭(かんなめさい)と新嘗祭(にいなめさい)は、どちらも宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)だ。
宮中祭祀とは、天皇が国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的におこなう祭祀だ。神社に鎮座する神霊、及び神霊が宿る御神体に対し、儀式が行われる。
神嘗祭は10月17だ。
五穀豊穣の感謝祭で、宮中及び神宮(通称「伊勢神宮」)で儀式がおこなわれる。
その年の初穂(はつほ)を天照大御神(あまてらすおおみかみ)に奉納するのだ。
新嘗祭は11月23日だ。
収穫祭にあたるもので、天皇が五穀の新穀を天神地祇(てんじんちぎ)に勧め、また、自らもこれを食して、その年の収穫に感謝する。
天神地祇とは、日本神話に登場する神々のことある。天津神と国津神に分類され、天照大神などがいる高天原の神を「天津神」、大国主などの天孫降臨以前からこの国土を治めていたとされる土着の神を「国津神」という。
天皇陛下は、新嘗祭が終わるまで新米をお召し上がりにはなられない。