慶応2年(1867年) 9月14日、『資本論』の第1巻の初版が刊行された。
この本は後世に最も大きな影響を与えた本の一つだ。
著者はカール・ハインリヒ・マルクス(1818年5月5日 - 1883年3月14日)である。
出身はプロイセン王国。
プロイセン王国とは、1701年から1912年まで存在した王国(国王を元首とする国家)である。領土はドイツ北部からポーランド西部で、首都はベルリンだった。
マルクスは哲学者や経済学者、革命家などと言われているが、実態はニートでヒモであった。しかし、頭が良く、社会に対して物凄い影響力をもっていた。(ある意味始末に悪い)
『資本論』は全3巻(全3部)から成る。
マルクスが書いたのは第1巻のみだ。
第1巻は刊行後、何度も加筆・修正されている。
その間に、当のマルクスは亡くなってしまう。
第2巻と第3巻は、マルクスの死後、マルクスの遺稿をもとに、彼の盟友であるフリードリヒ・エンゲルスにより編集・刊行された。
1867年に第1巻が、1885年に第2巻が、1894年に第3巻が刊行された。
資本論の構成は以下のとおりだ。
・第1部 資本の生産過程
・第2部 資本の流通過程
・第3部 資本主義的生産の総過程
資本論は、近代経済の仕組みを分析した研究書だ。
資本主義が如何に非人間的であるかを明らかにしている。
資本論が刊行された18世紀半ばから19世紀初頭にかけ、ヨーロッパでは産業革命が起きていた。
様々な技術革新により、今までより大量の物資を生産できるようになった。
その結果、多くの富を生産できるようになったのだが、その富を資本家が独占していた。
このため、労働者の不満が増大していた。
『資本論』は当時の時代背景もあり、多くに人々に支持された。
そして、資本論を具体化した国家、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)が1922年に建国する。
その後、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、東欧諸国など多くの国が社会主義国となる。
これらの国では、社会主義国家実現のために、多くの人達が殺されることとなった。その正確な数はわからないが、1億人以上のことは確かだ。
『資本論』の考え方は素晴らしい。
平等を重視している。
しかし、それを実際に国家の単位でやると、現実との大きな乖離が生まれる。
現実的ではないのだ。
日本は資本主義国家だ。
個人の財産所有が認められており、経済活動の自由がある。
これは『資本論』とは相反するものだ。
日本の政党は、左派政党ほど『資本論』の考え方に近い。
歴史に「もし」はないが、『資本論』が刊行されていなかったら、どんな世の中になっていただろうか?
ソ連が建国していなかったかもしれない。
日本は米国と戦争をしなかったかもしれない。
国内外にいる日本の敵は、今より少なかっただろう。
日本にとっては非常に迷惑な本だ。