厚生労働省の再生医療評価部会は21日、「血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血患者を対象とするiPS細胞由来血小板の自己輸血に関する臨床研究」について、計画の実施を了承した。
同臨床研究は、京都大学iPS細胞研究所が7月20日、厚生労働大臣に再生医療等提供計画を提出していたものである。
iPS細胞から作った血小板を「血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血患者」に輸血するというものだ。
情報元:血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血患者を対象とするiPS細胞由来血小板の自己輸血に関する臨床研究について | 京都大学 iPS細胞研究所
再生不良性貧血とは、血液中の血小板などが不足する病気だ。
症状としては、頭痛や動悸がしたり、感染症にかかりやすくなったり、出血しやすくなったりする。
主な治療法は血小板などの輸血だが、拒否反応を起こし通常の輸血ができない患者もいる。
今回の臨床研究は、このような患者1人を対象に実施される。
臨床研究の流れは、以下のとおりだ。
①患者から細胞を採取し、iPS細胞を作製
②iPS細胞から、巨核球細胞株を作り出し、マスターセルとして凍結保存
③マスターセルを解凍し、培養液中で巨核球を増殖させる
④血小板産生を行う
⑤分離・濃縮・洗浄をする
⑥放射線照射により増殖できる細胞を除去
⑦患者へ輸血
つまり、自分の細胞から血小板を作り輸血するというものだ。
輸血は3回に分け、100億~1000億個ずつ行われる。
その後1年間かけて、効果と安全性を確認する。
早ければ、年明けにも実施されるとみられる。
再生不良性貧血の患者は、国内に5,000人程度いる。
現在、輸血用の血小板は献血で集められているが、安定供給に懸念がある状態だ。
京都大学iPS細胞研究所は「再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト」を計画している。ホモ接合体(免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせ)で、医療用のiPS細胞を作製するというものだ。
今回の臨床研究で得られたデータは、これらの研究に必要なものだ。
iPS細胞は今まで不可能だった病気の治療を可能にする。
新薬の開発や病気などの解明にも応用することができるだろう。
大きな可能性を感じる。