政府は2日、外国人の出入国及び在留の公正な管理をするための「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、衆院に提出した。
同法案は、「出入国管理及び難民認定法」と「法務省設置法」の改正部分をまとめ、1つの法案とした。以下「入管法等改正案」と言う。
「出入国管理及び難民認定法」の改正は、新たな在留資格の創設が柱である。
同資格には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類を設けた。
特定技能1号は、日常会話程度の日本語能力試験と、技能試験に合格した人に与えられる。家族の帯同は不可で、在留期間は通算5年である。
特定技能2号は、更に難しい技能試験に合格した人に与えられる。家族の帯同は可能で、定期的な審査を受ければ永住が可能となる。
「法務省設置法」の改正により、法務省入国管理局を格上げして、「入国在留管理庁」(仮称)を新設する。
在留外国人を管理するのが目的だ。
「入管法等改正案」は、施行から3年後に、制度を検証する見直し規定を明記した。
外国人労働者の受け入れ人数については、数値を明記しなかった。見込まれる人手不足を法務省令に盛り込み、事実上の上限にしたい意向だ。
外国人が制限なく増えるのを抑制するため、人手不足が解消されたら、受け入れを停止する措置を盛り込んである。
来年4月1日からの施行を目指す。
出典:法務省
政府は移民政策ではないと主張しているが、本当であろうか?
「移民」という言葉に定義はない。
しかし、連合国の連合国事務総長報告書(1997年)には、「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」とある。
この定義によると、長期留学生や長期赴任、長期旅行者も「移民」ということになる。
この政策が移民政策なのか否かは、どうでもいい。
重要なのは、外国人労働者の増加ペースは増えるのか、抑制されるのかだ。
法務省によると、在留外国人の数は、平成24年(2012年)より増加に転じている。
在留外国人数は、平成24年(2012年)末には2,033,656人だが、平成29年(2017年)末には2,561,848人まで増えている。5年間で50万人以上増えた。
ヨーロッパでは移民の増加により、様々な問題が発生している。
大量が外国人を短期間に受け入れれば、社会の分断や排斥を招く恐れがある。
ヨーロッパの事例をみる限り、外国人を受け入れるという政策は「なし崩し」に、条件を拡大していくケースが多い。
ただ、外国人労働者を管理・支援するための仕組みを確立する必要はある。
外国人労働者の受け入れ人数の上限がどのくらいになるかが問題だ。
平成20年ころから、外国人労働者は年9万人強のペースで増えている。
受け入れの上限はこれ以下にすべきだ。
年間5万人以下に抑えることができれば理想的だ。
外国人労働者の受け入れを拡大しても、1年や2年という短期では、社会が大きく変わることはない。むしろ産業界にとってはメリットの方が多い。
しかし、外国人労働者を増加する政策を20年30年と続けたら、必ず後悔することになる。