トランプ米政権は5日、イラン核合意からの離脱に伴い、イランへの制裁を再開した。
主な内容は以下のとおり。
対イラン制裁「第2段」の主な対象
・イラン産原油及び関連製品の取引 ← 重要
・イラン中央銀行及び指定されたイランの金融機関との取引
・イランの海運に関わる活動
・イランとの貿易に必要な保険の付与
第三国でも、イランと原油取引をすれば制裁対象となる厳しい内容だ。
ただし、日本や台湾、支那などの8カ国に関しては猶予を与え、180日間をめどに、一定量の輸入は認めた。
米国は強力な制裁をする一方、食料品や医薬品などの日用品は制裁対象から外した。
イラン国民ではなく、イラン政府へ圧力をかけることが制裁の目的と強調した。
2002年、イランによる秘密裏の核開発が発覚した。
このため、米英仏独支露はイランに対して原油禁輸などの制裁を課していたが、2015年にイランが核開発を制限するを条件に米国と欧州は制裁を解除することで合意した。
今年に入り、トランブ米政権は「イラン核合意では核保有の懸念が払えない」として、イラン核合意からの離脱と制裁を決定していた。
今回のトランブ米政権の制裁は、すべての国に強要するものだ。
他国に対する配慮が欠けている。
米国のことを自分勝手と思った人もいるだろう。
しかし、これが国際社会の現実である。
日本は現実を直視し、国益を重視した対応をしなければならない。
出典:資源エネルギー庁
菅義偉(すが よしひで)官房長官は5日、米国の制裁が及ぼす影響について、「従来以上に注意深く分析をし、情勢を注視していく」と述べた。
情報元:平成30年11月5日(月)午後 | 平成30年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
賢明な判断である。
日本は他の国の対応を見てから、米国に従うか否かを判断すべきだ。
すべての国が米国に歩調を合わせるなら、日本だけ従わない訳にはいかない。
他の国の多くが従わないなら、日本は従う必要はない。
日本は「後出しじゃんけん」だ。
日本の原油の輸入の9割近くは中東からだ。
イランからは5%強である。2016年度は7%ほどあったが、昨年あたりから輸入量を減らしている。
1つの地域から、原油の9割近くを輸入しているのは、エネルギー安全保障上、リスクが大きすぎるのは明らかだ。
これを機に、原油の輸入先を分散した方が良い。
現実的な選択肢は、米国とロシアだ。
米国からイランと同等以下の値段で石油を輸入できるなら、米国から買うようにした方が良い。
このような意見を言うと、「イランとの良好な関係を壊す気か!」と批判する人もいるだろう。
気持ちはわかる。
ただ、自国民が最優先である。
国と国との間に友情はない。