政府は6日、韓国が自国の造船業界に過剰の公的支援を行っているのは「補助金及び相殺措置に関する協定(補助金協定)」に違反する疑いが強いとして、WTO(世界貿易機関)への提訴に向けた手続きとなる「2国間協議」を韓国側に要請した。
情報元:韓国による自国造船業に対する支援措置に関するWTO協定に基づく協議の要請 | 外務省
石井啓一(いしい けいいち)国土交通相は6日の閣議後の記者会見で、「市場歪曲(わいきょく)などの懸念を韓国側に伝えてきたが、是正の動きは見られない」と指摘した。
日本は補助金の見直しを要請してきたが、韓国政府は拒否し続けてきた。
このため、WTOの規定に沿った「2国間協議」に持ち込む必要があると判断した。
WTO(英語:World Trade Organization)とは、自由貿易促進を主たる目的として創設された国際機関である。
貿易のルール作りや交渉、通商紛争の解決などを行う。
通商紛争が発生した場合、「パネル」と言われる紛争処理小委会を設置し、専門家が「裁判官」となって審理する。紛争処理は「二審制」である。
韓国との 「2国間協議」が決裂した場合、日本は「パネル」の設置をWTOに要請し、提訴に踏み切ることになる。
なお、「2国間協議」が決裂する可能性は高いとみられている。
日本は現在、WTOにおいて3つの事案で韓国と係争中である。
造船市場の現状、出典:国土交通省
グローバル化の影響により、「世界の荷動き量」は2000年あたりから急激に増えてきた。
これに伴い「新造船建設量」も増えていった。
造船業界は2008年のリーマン・ショック以前、各社が相次いで生産能力を増強したため、世界的に供給過剰となってしまった。
日本の業者は国内に需要があるため、倒産する企業は少なかった。
これに対し、韓国の業者は外需頼みのため、2013年あたりから倒産が激増した。
韓国政府はその対策として2015年以降、経営危機に陥った大宇造船海洋(だいうぞうせんかいよう)に政府系金融機関を通じ、計1兆2千億円の金融支援を実施した。
このため、日本の造船各社は、韓国企業との激しい価格競争にさらされ、企業業績が悪化してしまった。
更に、2016年には海運市場の低迷により、「新造船建設量」が激減した。
現在、回復基調にはあるものの、2015年の「新造船建設量」には届かない情勢だ。
造船市場の現状、出典:国土交通省
韓国の韓国大法院(最高裁)は先月30日、日本企業に対して、元徴用工(偽)という韓国人男性4人に損害賠償を命じる決定を下した。
これは条約違反の判決である。
政府や与党、自民党の支持者などからは、凄まじい批判があった。
今回の韓国に対する「2国間協議」の要請も、この判決が多少は影響していると考えるのが普通である。
韓国政府が大宇造船海洋に行った1兆2千億円の金融支援は、WTOの協定違反の可能性が極めて高い。(確定していないのでこの表現にする)
韓国としては、この問題をWTOへの提訴されるのは非常に困る。
「韓国は協定違反の国」という事実が世界に知れ渡ってしまうからだ。
「徴用工訴訟(偽)を国際司法裁判所へ提訴するための準備では?」と考えてしまうのは、私だけだろうか。