大阪大学の
新しいウイルス型判定法は、ナノポアセンサとAI技術を組み合わせたものである。
情報元:https://www.nature.com/articles/s41598-018-34665-4
ナノポアセンサとは、もの凄く小さな穴で、この中をイオン電流が流れている。この中や近くを物質が通過するとき、電流に変化が生じる。この電流の変化を読み取ることにより、物質を特定することができる。
インフルエンザウイルス、出典:Wikipedia
インフルエンザウイルスとは、人に感染して、感染症であるインフルエンザを引き起こすウイルスのことである。
A型、B型、C型の3種類が知られているが、人の間で流行するのは主にA型とB型である。A型は遺伝子変異が起こりやすいため、抗体がある人でもかかる場合が多い。
インフルエンザウイルスが活発になるのは、一般的には、湿度と気温の低い冬である。
なお、ウイルスは、生物の最小単位である細胞をもたないので、生物ではない。
インフルエンザウイルスの型判定は、イムノクロマト検査キットに現れるマーカーの有無を判断する形式で行われている。
ウイルス数が少ない感染初期の段階では判定が難しいこと、更に、判定の的中率が判定を行う個人の能力により異なるという問題点があった。
同研究グループは、ナノポアセンサに着目した。
直径が1ミリメートルの約3000分の1という小さな穴にイオン電流を流し、インフルエンザウイルス、A型、B型、A亜型をそれぞれ通過させた。
この時の電気的変化のデータをとり、AIに学習させた。
判定の精度は、インフルエンザウイルス粒子1個で72%、20個以上で95%以上であった。
同研究により、判定する人の能力に依存しない、感染初期でのインフルエンザの型判定が可能となった。
今後、インフルエンザの早期発見や患者の負担軽減が期待される。
また、同手法はインフルエンザウイルスのみならず、他のウイルス種への応用が可能である。
現在の検査キットは、1種類のウイルスの特定のみに限定されている。今後、多項目ウイルス検査キットの実現も期待される。
同研究は、総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として実施したものである。