「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」が8日未明、参院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数により可決、成立した。
来年4月に施行される。
同法律は、「出入国管理及び難民認定法」と「法務省設置法」を改正するものである。以下「改正入管法・法務省法」と言う。
全文は以下のとおりである。
●出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案
出典:法務省
在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」が創設される。
「特定技能1号」は、最長5年の技能実習を修了するか、日常会話程度の日本語能力試験と技能試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。
「特定技能2号」は、更に厳しい技能試験に合格するば得られる。在留期間の更新が可能で、更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。
政府は、外国人労働者の受け入れ見込み数を、最初の5年間で21万2700~34万5150人としている。
産業別では、介護業が最も多く5万~6万人、次が建設業で3万~4万人になる。
受けいる人数は最初5年間で、年に約4万~7万人である。
受け入れ人数の決定は、法務省令によるため審議は不要となる。
外国人労働者は、平成20年が48万人、平成29年が127万人である。
9年間で79万人も増えている。
年に9万人弱のペースで増えている。
外国人労働者の増加のペースは東京オリンピックまでは加速し、以後は鈍化するものと思われる。
出典:首相官邸
雇用主は、特定技能外国人に対して、日本人と同等以上の報酬を支払う義務がある。
雇用契約も一定の基準を満たす必要があり、原則的に直接雇用となる。ただし、産業によっては派遣も可能となるとみられる。
雇用主が安い労働力を欲しいため外国人を雇うということは少なくなる。
改正入管法・法務省法の最重要点は、「出入国在留管理庁」の設置である。
現在の「入国管理局」が「出入国在留管理庁」に格上げとなる。人員は現在の4800人から、500人ほど増員し5300人体制となる。
出入国在留管理庁は公安調査庁のような外局となり、権限は大幅に強化される。
在留外国人の管理は強化され、受け入れ企業の監督も行う。
主な内容は、以下のとおりだ。
- 悪質な仲介業者を利用して外国人材を受け入れた場合、その企業による受け入れを5年間禁じる方針
- 強制送還された自国民の受け入れを拒否した国や不法就労目的の難民認定申請や不法滞在者が多い国に関する審査の強化
- 社会保険料を滞納している外国人には在留を認めず、在留資格の取り消しや在留期間の更新を許可しない
- 健康保険、家族は「日本居住」限定
- 出稼ぎの「偽装留学生」排除
改正入管法・法務省法は、外国人を管理するための大枠を作っただけと言える。
決めなけらばならない事は、まだ多く残っている。
ただ、犯罪を起こしていない普通の人間にとっては反対するようなものではない。
管理されることにより、抑止力が働くようになる。