慶應義塾大学病院の臨床研究計画「
世界初の iPS細胞をつかった脊髄損傷の治療法である。iPS細胞より作成した「神経前駆細胞」を移植する。
研究グループは、年内にも最初の移植を行う予定だ。
iPS細胞とは、皮膚などの細胞に3~4種類の「特定の遺伝子」を組み込むことにより、人工的につくる細胞である。
最大の特徴は、多くの細胞に
理論上は、iPS細胞から皮膚や臓器、骨など様々な体の部位をつくることができる。
ヒトを横から見たスケッチ、赤い線が
脊椎とは、脳に繋がるひも状の器官で、大切な神経である。
この部分が損傷すると、体が自由に動かなくなる。
臨床研究は、
京都大学が作製・備蓄する iPS細胞(患者とは別人のもの)を利用し、神経のもととなる「
移植後は免疫抑制剤を使う。
リハビリ治療も行いながら、1年かけて治療の効果や安全性を調べる。
今回の臨床研究は
研究グループは今後、治療が難しい慢性期の患者を対象とした臨床研究も行う予定である。マウスを使った実験では、「神経前駆細胞」をある薬剤で処理すると慢性期でも効果があった。
iPS細胞を使った治療法が、脊髄損傷の有効な治療法となる可能性は十分にある。
早く安全で効果的な治療法を患者さんに届けられることを願う。