財務省は20日、「平成31年1月分貿易統計(速報)」を発表した。
平成31年1月分貿易統計(速報)
・輸出: 5兆 5742億円(前年同月比▲ 8.4%)
・輸入: 6兆 9895億円(前年同月比▲ 0.6%)
・差引:▲1兆 4152億円(前年同月比 49.2%)
輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」は1兆 4152億円の赤字だった。赤字額は平成26年3月(1兆 4501億円の赤字)以来の大きさとなった。貿易収支の赤字は4カ月連続。
輸出は、対前年同月比▲8.4%の減少となった。産業機械用コネクターなど「電気回路等の機器」が38.9%減、スマートフォン用液晶製造装置など「半導体等製造装置」が24.8%減など、精密機器関連の輸出が大きく減った。
輸入は原粗油、石油製品等が減少し、▲0.6%の減少となった。
支那向けの輸出額は、前年同月比17.4%減の9581億円だった。月別の輸出額が1兆円を下回るのは2年ぶりとなった。
支那の経済は昨年7月以降、米国のトランプ政権が発動した追加関税により減速し始めていた。今回の統計では、その影響が現れた格好だ。
平成31年1月分貿易統計(速報)の概要、出典:財務省
テレビや新聞には、「貿易黒字」とか「貿易赤字」という言葉がよくでてくる。
何だが大切な数値のような印象を受ける方もいるだろうが、一般的に思われているほど重要な数値ではない。
経済用語について正確な説明をするには専門知識が必要なため、大雑把に説明する。
外国とのお金の増減額を示すのが「国際収支」だ。
大きく分けると「経常収支」と「資本収支等」になる。
経常収支は損得が発生する収支だ。具体的には、物の売買や株式の配当など。
資本収支等は損得が発生しない取引の収支だ。具体的には、投資や株式の購入など。
平成29年の日本の国際収支は35兆3284億円。内訳は経常収支21兆9514億円、資本収支等17兆3770億円、
情報元:国際収支の推移 | 財務省
経常収支の推移、出典:財務省
経常収支には「貿易収支」「サービス収支」「第一次所得収支」」「第二次所得収支」がある。
- 貿易収支:財貨(物)の輸出入の収支
- サービス収支:サービス取引の収支
- 第一次所得収支:対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支、いわゆる「不労所得」
- 第二次所得収支:対価を伴わない資産の提供、無償資金協力、贈与の受払など。先進国は常に赤字
平成29年の日本の「経常収支21兆9514億円」の内訳は以下のとおり。
貿易収支 4兆9554億円
サービス収支 ▲7257億円
第一次所得収支19兆8374億円 ← 注目
第二次所得収支▲2兆1157億円
日本の外国からの儲けの大部分は「第一次所得収支」である。
貿易収支、つまり物の売買による儲けは多くない。
更に、日本は内需大国である。物やサービスは国内での売上が多い。輸出が減っても経済に与える影響は他国より少ない。
日本は貿易大国ではない。しかし、投資大国ではある。
物を外国に売っているのは主に大企業である。
そう、マスコミのスポンサーだ。
支那への輸出額が減った?
それが何か?