北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」は1日、2波同時送信を開始した。短波周波数を3波から5波に増枠、この5波から2波をランダムに選択し、同じ番組を同時送信するように移行した。
北朝鮮の電波妨害を
「しおかぜ」の送信施設があるKDDI
北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」とは、民間団体である特定失踪者問題調査会が北朝鮮向けに行っているラジオ放送である。
目的は、①拉致被害者に対して日本で救出の努力をしていることを伝えること、②北朝鮮当局に注意しつつ情報を外部に出してもらうよう伝えること、③その他北朝鮮に関わる事について外部からを情報注入すること、などである。
KDDI八俣送信所(茨城県古河市)の設備(空中線電力100kW)より、北朝鮮全域を対象に放送されている。聴取する為には、短波を受信できる受信機(短波ラジオや無線機など)が必要である。日本国内で視聴するには条件が揃う必要がある。
北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」は平成31年4月3日現在、1日3回放送されている。時間帯は「01:00-02:00」「22:00-23:00」「23:05-23:35」。放送内容は、以下の番組がランダムに放送されている。
- 日本語、朝鮮語、北京語による拉致及び拉致の可能性がある失踪者名前読み上げ
- 家族からの手紙「みんながあなたを待っている」
- 家族の絆(直接の呼びかけ)「きっと助けてあげる」
- しおかぜニュース(日本語「日本海にかける橋」、朝鮮語「シオカゼ ソシク」、英語「This is Shiokaze Sea breeze」)
- 拉致及び拉致の可能性がある失踪者へ呼び掛け(日本語、朝鮮語、英語、北京語)他
- 情報提供のお願い
「23:05-23:35」の時間帯には、日本政府の拉致問題対策本部が制作した番組「ふるさとの風」が放送されている。
「しおかぜ」が開始した2波同時送信のイメージ(右)、作成:素人が新聞記事書いてみた
北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」は平成17年の放送開始直後から、北朝鮮当局の電波妨害を受けている。何度か周波数を変えても、その都度、妨害を受けてきた。
その対応策として、平成21年からは短波周波数を2波の増枠し、どちらかを使用する体制に移行した。更に、平成23年には短波周波数を3波に増枠、そのどれかを使用する体制で放送を続けていた。しかし、北朝鮮側の妨害がやむことはなかった。
このため、平成31年4月から周波数を5波に増枠、このうち2波を選択し、2波で同じ番組を同時に放送するマルチチャンネル化に移行した。
北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」の存在が、邪魔で邪魔でしかたがないようだ。
近年、北朝鮮内では中波を受信するラジオが増加してきている。しかし、「しおかぜ」は予算不足のため、対応できないのが現状だ。
政府は今まで「しおかぜ」を支援してきているが、もっと積極的に支援すべきである。
マスコミも「しおかぜ」に関する報道を、今より積極的にすべきである。
北朝鮮に拉致された日本人の方々は、何としても取り返さなければならない。