東京大学大学院工学系研究科の
論文は24日付けの英国の科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
掲載ページ:A fresh approach to synthesizing ammonia from air and water
アンモニアとは、窒素と水素の化合物である。化学式はNH3。常温では、無色で刺激臭が強い気体である。融点-77.7℃,沸点-33.4℃。水によく溶ける。
アンモニアは肥料や医薬品、繊維などの原料として広く使われている。全世界の年間生産量(2010年)は約1.6億トンで、うち8割ほどが肥料用であると言われている。
作成:素人が新聞記事書いてみた
アンモニアの合成法は、工業生産ではハーバー・ボッシュ法が一般的である。鉄系物質を触媒(反応を促進させる物質)として、窒素と水素を、400~600 °C、200~1,000気圧のもとで直接反応させる。このため、巨大なプラントが必要である。
アンモニアの合成法は他にもいくつかあるが、 常温・常圧で合成することは今まで不可能だった。
新たな合成法では、モリブデン(Mo)を触媒、ヨウ化サマリウム(SmI2)溶液を還元剤として用いた。熱や圧力を加える必要はなく、常温・常圧での合成が可能だ。
研究グループが、モリブデンとヨウ化サマリウム溶液と窒素を入れた容器に、水を入れて混ぜると、アンモニアが大量に発生した。
フラスコでも合成でき、二酸化炭素もほぼ出さない。課題は高価なレアアース「サマリウム」を使う点だが、再利用や安価な試薬で代替する見通しが立っているという。
現在、アンモニア合成法の主流となっている「ハーバー・ボッシュ法」は、1913年に開発された。開発者のフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュは、共にノーベル化学賞を受賞している。
今回のアンモニア合成法の発見は、化学の歴史を変える可能性が十分にある。ポイントはレアアース「サマリウム」の効率的な利用、又は、代用物質を見つけることができるか否か...
再び吉報を聞きたいものである。