香港で9日、中華人民共和国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモが、民主派団体「民間人権陣線」の主催で行われた。
参加者は主催者発表103万人、警察発表24万人。平成9年(1997年)に中華人民共和国へ返還?して以来最大のデモとなった。香港の人口は平成28年(2016年)現在で約737万人。
「逃亡犯条例」改正案に反対し、デモ行進する香港市民、原典:DNN World News on Twitter
デモは9日の午後2時半(日本時間3時半)から、夜10時(同11時)ごろまで行われた。
香港島にあるヴィクトリアパークから香港立法会(議会)前まで約4キロの道路は、デモ行進する香港市民で埋め尽くされた。
デモ終了後の深夜から翌10日未明にかけ、居残った一部デモ隊と警官隊が衝突し、数人が怪我をした。
Protest in Hong Kong yesterday. pic.twitter.com/chdvW2wuRf
— n҉e҉r҉v҉e҉ (@lo4nerve) June 9, 2019
「逃亡犯条例」改正案が成立すると、容疑者として捕まった人を北京政府から要望があった場合、中華人民共和国本土に引き渡すことができるようになる。裁判の結果がでていなくてもだ。
実質的に中華人民共和国の国内法が適用され、香港の一般市民も中華人民共和国当局の取り締まり対象になる可能性がある。
これに対して、香港市民が大きな反発をしたのが今回のデモだ。
香港政府トップの林鄭月娥(りんてい げつが)行政長官は10日、「逃亡犯条例」改正案を撤回する考えはないと強調した。
改正案は12日から立法会で本格的に審議される。採決されれば成立は確実とみられている。
北京政府も支持を表明。香港政府は7月までの成立を目指している。
香港では平成26年(2016年)にも「雨傘革命」と言われる大きなデモが起きている。
この時、北京政府の気に入った人物しか行政長官(香港のトップ)になれなくなってしまった。その途端に出てきたのが、今回の 「逃亡犯条例」改正案である。
香港は「一国二制度」に基づく高度な自治を約束されていたが、すでに形骸化され始めている。
日本も他人事ではない。
<令和元年6月12日情報追加>
香港で12日、中華人民共和国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の審議が再開された。
香港政府や香港立法会(議会)付近には、条例改正に反対する若者ら数万人以上が集結し、幹線道路の一部を占拠した。