素人が新聞記事書いてみた

新聞記事のつもりでブログを書いています。

大阪大学など、大腸がん発症関連細菌を特定、便から早期診断の技術も

大阪大学東京工業大学東京大学などの研究グループは、大腸がん発症に関連する腸内細菌2種類の特定に成功した。

また、便から大腸がんを早期に診断する技術も開発した。すでに特許出願済。

 

大腸がんは現在、胃がんを抜き日本で一番多いがんである。

食事の欧米化などがその原因と考えられているのだが、発症メカニズムはまだ解明されていない。

 

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1.食道 2.胃 3.十二指腸 4.小腸 5.盲腸 6.虫垂 7.大腸 8.直腸 9.肛門、出典:Wikipedia

 

研究グループは、国立がん研究センターで、大腸内視鏡検査を受けたがん患者ら616人の便を調査した。腸内細菌のDNAを丸ごと調べるメタゲノム解析などを行い、患者一人ひとりの腸内細菌の状態を分析した。

「便を分析した結果」と「大腸内視鏡検査の診断結果」を突き合わせたところ、がんの進行度によって、便の中に増減している細菌が大きく異なっていることが明らかとなった。

Atopobium parvulum(アトポビウム・パルブルム)と Actinomyces odontolyticus(アクチノマイセス・オドントリティカス)の2種類の細菌は、大腸がんの発症初期でのみ増えると特定できた。これは非常に大きな成果である。

また、発症初期の腸内では、「デオキシコール酸」という脂肪吸収を助ける二次胆汁酸の一種や、イソロイシンなど数種類のアミノ酸が多いことも判明した。

情報元:Metagenomic and metabolomic analyses reveal distinct stage-specific phenotypes of the gut microbiota in colorectal cancer | Nature Medicine

 

研究グループはこれらを応用し、便から大腸がんを診断する方法を開発した。

日経新聞の報道によると、健常者と早期や悪化したがんの患者を約8割の精度で見分けることができたという。

情報元:早期の大腸がん、腸内細菌から発見 8割の精度で判別 :日本経済新聞

 

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便潜血検査用の採便管、出典:Wikipedia

 

大腸がんを詳しく調べるためには、「大腸内視鏡検査」という精密検査が必要である。内視鏡を肛門より挿入し、大腸の粘膜を直接観察する。ただ、この検査は気軽にできるものではない。

通常はまず「便潜血検査」を行う。健康診断の項目にもある。この検査で便に血液が混ざっているか否かを判断し、「便潜血あり」と診断されれば、大腸内視鏡検査を行う。

便潜血あり」と診断された人のうち、大腸がんの人は約5%ほど。そう、便潜血検査は大腸がんを診断する方法としては精度が低いのだ。

 

研究グループが開発した大腸がんを診断する方法は、便潜血検査の精度を大きく上回る可能性がある。大腸がんの早期発見に大きく貢献する可能性があるのだ。(不確定要素もあるのでこの表現)

 

大腸がん発症に関連するとされる2種類の細菌に関しては、まだ不明な部分が多い。

「細菌が増えたり減ったりしたことが原因で大腸がんが起こるのか、大腸がんを発症した結果として特定の菌が増えたり減ったりするのか」という基本的なことすら解明されていない。

 

どちらにしろ、国はこの研究をしっかりと支援すべきだ。