山口大学の永嶌真理子(ながしま まりこ)准教授らの研究グループは、イタリアのチェルキアーラ鉱山から採取した鉱物を分析中に、偶然、紫色の新鉱物を発見した。
永嶌氏は新鉱物だと直感したという。
国際鉱物学連合(International Mineralogical Association)の新鉱物・命名・分類委員会(Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)の審査によって、新鉱物であることが平成31年4月8日に正式に承認され、「アルミノ杉石(すぎせき)」と命名された。
アルミノ杉石、原典:山口大学
アルミノ杉石は紫色のキレイな鉱物(写真上)である。理想式は KNa2Al2Li3Si12O30。アルミニウムやリチウムを多く含む。
リチウムはレアメタル(希少金属)の一つで、電気自動車の電池や携帯電話のバッテリーなど非常に広範囲で使われている。このため、アルミノ杉石は装飾品としてだけでなく、鉱物資源としても期待される。
実物は山口大学理学部の地球科学標本室で見ることができる。
アルミノ杉石は、昭和51年(1976年)に、村上允英(むらかみ のぶひで、山口大学名誉教授)によって愛媛県岩城島から発見された「杉石(すぎせき)」 の亜種である。
アルミノ杉石は、この杉石のアルミニウム置換体である。
アルミノ杉石はミラー石族鉱物に属する。ミラー石族に属する鉱物は、基本的に全て同じ原子配列である。
ミラー石族は、今回のアルミノ杉石を含めて24種類となった。うち、日本人研究者が発見したのは3種類、山口大学が発見したのは2種類。
地球は鉱物の宝庫である。平成27年(2015年)7月時点で、5048種類の鉱物の存在が確認されている。
しかし、まだ1500種以上が未発見であるという研究者もいる。
情報元:Statistical analysis of mineral diversity and distribution: Earth's mineralogy is unique
これらの鉱物の発見・研究が進めば、我々の生活を変える新しい技術の開発に繋がる。
人類はまだまだ知らないことが多い。