トランプ米大統領は30日、朝鮮半島における軍事境界線のある板門店(はんもんてん)で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談をした。
会談に先立ち、トランプ氏は軍事境界線を挟んで金氏と握手を交わし、北朝鮮側に入った。1分ほどし、金氏と共に韓国側に戻った。現職の米大統領が北朝鮮に足を踏み入れたのは初。
その後、韓国側の施設で約50分間、北朝鮮の非核化などについて話し合いがもたれた。両氏が会談をするのは今回が3度目。
北朝鮮と韓国の軍事境界線上で握手をする 、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領(右)、出典:Dan Scavino Jr.🇺🇸 on Twitter
After some very important meetings, including my meeting with President Xi of China, I will be leaving Japan for South Korea (with President Moon). While there, if Chairman Kim of North Korea sees this, I would meet him at the Border/DMZ just to shake his hand and say Hello(?)!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) June 28, 2019
今回の会談は異例ずくめだった。トランプ氏が29日にしたツイッターでの呼びかけに、金氏が対応し、急遽行われた。
...とマスコミは報道しているが、そういう訳ではない。トランプ氏がこの日、韓国を訪問することは以前から決まっていた。
両氏が挨拶・握手をし、トランプ氏が米国大統領として初めて北朝鮮の地を踏む様は、マスコミ陣に公開され、全世界に報道された。
トランプ氏は、「境界線を越えることができて非常に光栄だ」と述べた。また、金氏をホワイトハウスに招致したことも明かしたが、次期には言及しなかった。
金氏は、「きょう、トランプ大統領が初めて境界線を越えて、我々の地に足を踏み入れた。史上初めて我々の土地を踏んだ米大統領となった。過去を清算し、これから良い未来を開拓しようというトランプ大統領の並外れた勇断だと思う」と述べた。
米メディアによると、金氏もトランプ氏を平壌に招待したという。
その後、韓国側の施設「自由の家」で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も交えて、会談が行われた。
北朝鮮の非核化に向けた実務者協議を数週間以内に再開することで合意した。
会談後の共同記者会見でトランプ氏は、「北朝鮮は核・ミサイル実験をしておらず、情勢は2年半前に比べて前進している」と述べた。現在、北朝鮮の行っている経済制裁は維持されるとした。
文氏は、「朝鮮半島の平和は、対話を通じてのみ獲得できる。...(トランプ氏は)朝鮮半島のピースメーカーだ」と述べた。
ここからは筆者個人の意見である。過度に信用しないで頂きたい。
今回の首脳会談は政治ショーの性格が強いように感じる。
会談で決まったことは、北朝鮮の核を廃棄するための実務者協議の開始だけである。北朝鮮は過去何度も、核を廃棄すると約束をしたが、反故にしてきている。
経済制裁を解除してもらうための「擦り寄り」ではないのだろうか?
平成14年(2002年)、当時の小泉総理と金正日(キム・ジョンイル)書記長が会談し、拉致被害者が帰国した。この時、北朝鮮は相当追い詰められていた。
北朝鮮が約束を守るとは思えない。
北朝鮮への経済制裁を解除してはいけない。そして、日本にもできることは、まだある。