手足口病(てあしくちびょう)の患者数が、流行の警報を出す基準を超えていることが、国立感染症研究所の調査で2日わかった。
国立感染症研究所によると、全国約3000の小児科医療機関から報告があった患者総数は、6月17~23日の1週間で1万6417人だった。1医療機関あたり5.18人となり、流行の警報が出される基準である5人を超えた。
都道府県別では多い方から、福岡(17.33人)、福井(15.26人)、佐賀(13.17人)、鳥取(11.84人)、高知(10.07)と続いた。24府県で、流行の警報が出される基準を超えた。
大阪(9.15人)、東京(2.73人)。
西日本で感染拡大が目立つ。
手足口病は毎年7月中~下旬にピークを迎える。
今年は過去10年で最多のペースであり、厚生労働省などが注意を呼び掛けている。
幼児の手に「手足口病」が発生した状態、出典:Wikipedia
手足口病とは、「コクサッキーウイルスA16」などの感染により発生する、ウイルス性疾患である。その名のとおり、手足の先や口の中・周囲などに、水疱が現れる。
4歳くらいまでの乳児や幼児によく見られる疾患である。ただし、成人でも発症することはある。
潜伏期間は3~7日ほど。この間に、以下のような症状が発生することがある。
手足口病の発症前によく現れる症状
・口内炎ができている
・口の中が痛く、熱がある
・原因不明の発疹が手足などに見られる
・風邪の前触れのような悪寒がある
・全身がだるい
・関節痛や筋肉痛を感じる
手足口病の原因となるウイルスは、「コクサッキーウイルスA16」が最も多い。他に「エンテロウイルス71」などもある。
これらのウイルスは高温・高湿度で活動的になるため、暑い時期に流行しやすい。日本でのピークは7月中~下旬ころ。
感染経路は、感染者の鼻や咽頭からの分泌物、便などによる接触感染が主である。飛沫感染する場合もある。ウイルスというのは、口から体内に侵入するケースが圧倒的に多い。
手足口病の主な予防法
・手洗い・うがいを行う
・睡眠をしっかりとり、疲れをためない
・長時間の日焼けは避ける
・手足口病を発症している人と、箸やタオルなどを共有しない
手足口病そのものを治す治療法は存在しない。
基本的には対処療法(病気の原因を無くすのではなく症状を軽減する治療法)が行われる。水疱の痛みを軽減させたり、脱水をコントロールするために、薬や点滴などによる治療が行われる。
手足口病の対策として、特別にできることはない。しかし、一般に周知されている感染症予防はした方がいい。
家に帰ったら、手洗い・うがいをする。そして、早めに就寝して疲れをためない。病気かなと思ったら、早めに医療機関の診察を受ける。
自分は大丈夫という根拠のない思い込みをすると、取り返しのつかない結果を招くこともある。