イラン政府は7日、再び『イラン核合意』を破り、ウラン濃縮度を定められた上限の3.67%よりも引き上げる作業に着手したと発表した。
具体的な数値は示さなかったが、濃縮度は原発燃料に必要な5%程度まで引き上げられるとみられる。
イランは米国の経済制裁に不満を持っており、状況が改善されなければ60日後、核開発を更に拡大する方針も示した。
核兵器に使用するためには、ウラン濃縮度を90%程度にまで上げる必要がある。
イランの位置、出典:Wikipedia
イラン核合意とは、平成27年(2015年)7月、イランと連合国(国連)安保理常任理事国とドイツの計7カ国により締結されたものである。期間は最長15年。
濃縮ウラン量、ウラン濃縮度などに制限が課された。イランが核爆弾製造を決断してから完成させるまでの期間は2~3か月と言われていたが、これにより1年以上と長くなった。
見返りとして、米国や欧州は原油禁輸などの経済制裁を解除した。
米国は昨年5月、核合意からの離脱を表明。イランに対し経済制裁を開始した。
イランは今年5月、英仏独に対して、米国の経済制裁を回避して、原油を輸出できる仕組みを60日以内に作るよう求めていた。
7日はその期限だったが、英仏独はイランが納得する条件を提示することは出来なかった。
イラン核合意の主な内容
濃縮ウラン量:300kg未満 ←1日に逸脱
ウラン濃縮度:3.67%に制限 ←7日に逸脱
遠心分離機数:5060基未満
ブルトニウム:抽出不可(合意前は可能だった)
イランは今月1日、核合意で定められていた濃縮ウラン量300kgの上限については、すでに破っている。
7日には、ウラン濃縮度を3.67%より引き上げると発表した。二回目の合意違反である。
専門家には、今回の違反は、英仏独から良い条件を引き出すためのものであるという意見が多い。
中東情勢が怪しくなってきている。
これは日本にとって対岸の火事ではない。
日本は現在、経済活動や国民生活に必要な資源の7割以上を海外からの輸入に依存している。そして、そのほとんどが海上輸送であり、中東を経由しているものも多い。
中東で何かあれば、石油や天然ガスといったエネルギー資源の安定供給が断たれることも考えられる。日本とっては死活問題である。
日本は石油や天然ガスを、こんなに中東に依存したままでいいのか?
このことを国民はもっと真剣に考える必要がある。