昭和27年(1952年)7月21日、破壊活動防止法(略称「破防法」)が施行され、公安調査庁が設置された。
破壊活動防止法とは、「暴力主義的破壊活動」を行った団体に対し、規制措置を定めると共に、その活動に関する刑罰規定を補正した法律である。このために作られた組織が「公安調査庁」である。
暴力主義的破壊活動とは、内乱罪、外患誘致・外患援助に当たる行為やそれらを煽る行為のことである。政治的目的のための騒乱や殺人、放火、強盗、公務執行妨害などが該当する。
血のメーデー事件とは、昭和27年(1952年)5月1日、東京の皇居外苑で発生した騒乱事件で、デモ隊と警察部隊とが衝突し死亡者もでている。一部の左翼団体が暴力革命の準備として行ったものと見られている。
国会に提出した法案は今より強力なものであったが、左翼政党の抵抗が強かったため「強制捜査」「政治団体の報告義務」「解散団体の財産没収」などの条項は削除されることとなった。
最も強く抵抗したのは日本共産党である。同党は当時、白鳥事件や吹田事件など数々の事件を起こしており、血のメーデー事件でも中心的な役割を担っていた。
公安調査庁が置かれている中央合同庁舎第6号館A棟、出典:Wikipedia
公安調査庁とは、破壊活動防止法などに伴い、公共の安全の確保を図ることを目的に設定された行政機関である。国内諸団体・国際テロ組織に対する情報の収集・分析を行うのが主任務である。法務省の外局であり、定員は1650人。
「公安警察」とは別の組織である。
業務が重複している部分もあるが、刑法に基づく治安に関する法令違反を捜査するのが公安警察で、動向を調査するのが公安調査庁である。
現在、公安調査庁の監視対象となっている組織は、旧オウム真理教(現Aleph、ひかりの輪)、日本共産党、革マル派・中核派なでの極左団体、極右団体や行動する保守(右派系市民グループ)、朝鮮総連などである。
反戦運動・反基地運動、原子力撤廃・反核運動、人権擁護運動(アムネスティ・インターナショナル、自由法曹団、日本国民救援会、青年法律家協会等)、言論団体(日本ペンクラブ、日本ジャーナリスト会議等)などについても、情報収集を行っているとされる。
左派団体だけでなく、右派団体も同じくらい監視対象となっている。
平成23年(2011年)度版「内外情勢の回顧と展望」より、行動する保守運動が「排外主張を掲げ執拗な糾弾活動を展開する右派系グループ」として位置づけられ、新たな監視対象に加わっている。
在日特権を許さない市民の会(略称「在特会」)についても情報収集を行っている。
公安調査庁の情報収集能力は優秀である。このため、批判する組織や人物は多い。
自分に疚しいことがなければ、批判する必要はないはずだ。
彼らが嫌がるということは、公安調査庁の権限を強くした方が日本のためになるということである。