文部科学省の専門委員会は24日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って動物体内でヒトの臓器を作製する研究について、大筋で了承した。
同省はこの研究を今まで禁止していたが、今年3月に関連指針を改正し条件付きで解禁した。
成功すれば、将来的には臓器移植に使える可能性がでてくる。
動物体内でヒトの臓器を作製するイメージ、作成:素人が新聞記事書いてみた
研究の申請をしていたのは、東京大学の中内啓光(ひろみつ)特任教授のチーム。
計画では、まず遺伝子を改変し膵臓(すいぞう)などができないようにした動物の受精卵を作製する。作製法には、外部から特定の遺伝子を導入する方法や、特定の遺伝子を破壊して欠失させる方法などがある。
この受精卵に人のiPS細胞を注入した「動物性集合胚」と呼ばれる受精卵をつくり、動物の子宮に戻す。
生まれた子は、ヒトの細胞でできた膵臓などを持っているとされる。
まずは、ネズミやラットなど小型動物での成功を目指す。
成功すれば、ブタやサルでヒトの臓器を作製し、移植することも現実味を帯びてくる。
筆者が研究チームに直接確認したところ、「成功するか否かは全くわからない」との回答だった。ただ、話ぶりから、ある程度の手応えは掴んでいると思われる。
同研究チームには、iPS細胞を利用した新しい免疫療法を開発した実績がある。
文部科学省は8月中に研究の実施を正式に認める見通し。
研究チームは認められ次第、研究に着手する。