韓国政府は22日、国家安全保障会議(NSC)の常任委員会を開き、「秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」を破棄する決定をした。
日本政府には、外交ルートを通じて24日までに通報する。
破棄の理由については、日本政府が輸出管理制度の中で優遇措置を得られる「ホワイト国」から韓国除外を決めたことを上げた。「両国間の安全協力環境に重大な変化を招いた」と指摘した。
国家安保室の金有根(キム・ユグン)第一次長が記者会見で発表した。
「秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」とは、日本と韓国の間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐための協定である。
その情報は厳重に保管されており、アクセスできる人の制限など細かいルールが決められている。
一般的には、「日韓軍事情報協定」や「GSOMIA(ジーソミア)」など呼ばれている。
日本は同様の協定を、米国や英国、フランス、NATO(北大西洋条約機構)などとも結んでいる。
韓国とは2016年11月23日に締結した。
1年ごとに自動更新されることになっている。終了させる場合には、更新期限の90日前(8月24日)までに相手国へやめることを通告する。
米国は更新するよう韓国に訴えていた。一方、北朝鮮は破棄を要求していた。
日韓軍事情報協定の最大の目的は北朝鮮対策だ。
北朝鮮がミサイルを発射した場合、韓国は距離が近いため早期に捉えることができる。
一方、日本は空自のレーダーサイトやイージス艦のレーダーによる弾道ミサイルの追尾が可能だ。
自衛隊は電波情報の収集にも優れている。電波情報は傍受だけでなく、蓄積した情報資料と照合し、分析する必要がある。自衛隊は北朝鮮のミサイル発射準備徴候を察知した実績がある。
7月25日に北朝鮮がミサイルを発射した際、韓国軍は当初飛距離690kmと発表した。しかし、自衛隊の情報をもとに、後に600kmに修正している。
日韓軍事情報協定のメリットは日本にもあるが、韓国の方が遥かに大きい。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領、出典:Wikipedia
彼の両親は北朝鮮出身で、朝鮮戦争時に韓国へ逃れてきた。祖父母は北朝鮮に残ったままである。
大統領選挙の時には、「大統領になったら、まず金正恩第一書記に会いに行く」と公言していた。米国が韓国に配備しようとしていたTHAAD(弾道ミサイル迎撃システム)の撤廃も訴えていた。
「日韓軍事情報協定」は元々破棄するつもりで、日本の韓国「ホワイト国」除外はその口実なのではと疑ってしまう。
これは日韓だけの問題ではない。米国にも多いに関係がある。
米国は北朝鮮がミサイルを発射したときなど、日本に送る情報と韓国に送る情報を分けなければならなくなる。これは致命的な問題を引き起こす可能性がある。
「日韓軍事情報協定」破棄により、日本の安全保障にも悪影響がでる。
日本政府は国民の生命と財産を守るため、粛々と軍備を整える必要がある。