岡山大学と岐阜大学の研究グループは、認知症の原因に酸化ストレスが大きく関わっていることを、臨床試験により実証した。
既に動物実験によりわかっていたが、ヒトで実証できたのは世界初だという。
認知症とは、脳の神経細胞の変性や脱落により起こる病状や状態の総称である。老化による物忘れとは違う。
体験したことを丸ごと忘れ、判断力も低下する。症状はだんだんと進行していく。
認知症のうち、約半数はアルツハイマー型認知症。約20%はレビー小体型認知症、約15%は血管性認知症。その他にもいつかあるが、この3つで全体の約85%を占めている。
酸化ストレスとは、酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用のことである。
生物が過剰に体内に取り入れた酸素は、細胞を傷害したり、がんや心血管疾患など様々な疾患の要因となる。このため、生体内には、活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御機構が備わっている。
体内に取り入れた酸素が、抗酸化防御機構を上回った状態が酸化ストレスである。
抗酸化配合剤「Twendee X」、原典:続・育児は一人でするもんじゃない☆ ~元幼稚園教諭ママの子育てひとり言~
同研究チームは、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)と診断された患者を対象に臨床検査を行った。
MCIでは認知症の医薬品を投薬することはできないため、サプリメントである抗酸化配合剤「Twendee X(トゥエンディX)」を投与した。
検査は本物(Twendee X)と偽物(プラセボ)を使用し、検査を受ける人には全く区別できない状態にして行われた。
6カ月間の投与を続けた後、認知機能の障害の有無を調べる「MMSE(ミニメンタルステート検査)」と「長谷川式簡易知能評価スケール」を2つの検査を実施した。
その結果、Twendee Xを飲んだ患者は、両方の検査で服用開始と比べ改善が認められた。これにより、酸化ストレスを抑えることでヒトにおける認知症の予防ができることが実証された。
厚生労働省によると、国内の認知症患者数は令和7年(2025 年)に700万人に達すると推定されている。
認知症は身近な病気といえる。
認知症は本人はもちろんだが、家族や周囲の人間も不幸にする。
今回の成果が、新たな認知症の治療法開発につながることを期待する。