経済協力開発機構(OECD)は3日、 "Programme for International Student Assessment, PISA"(=国際生徒評価のためのプログラム)の2018年の結果を公表した。
同調査は、15歳(日本は高校1年)を対象とした学習到達度調査である。3年ごとに「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野で実施される。点数は全参加国・地域の平均点が500点となるように計算される。
今回の調査には、79の国・地域から約60万人の生徒が参加した。OECD非加盟の国・地域からも多数の参加があった。
PISA2018の順位(上位のみ)、原典:国立教育政策研究所
日本は「読解力」が15位となり、前回2015年調査の8位から後退した。「数学的リテラシー」は6位(前回5位)、「科学的リテラシー」は5位(同2位)になり、世界トップレベルを維持した。
日本における調査は、無作為に抽出された183校から約6100人の高校1年生が参加した。
調査は昨年6~8月にかけ行われた。入学して間もない時期に行われていることの影響があると考えられる。
米国は「読解力」13位、「数学的リテラシー」37位、「科学的リテラシー」18位。
同様に、ドイツは20位、20位、16位。
英国は14位、18位、14位。
支那は国ではなく、「北京・上海・江蘇・浙江」と地域で参加。3分野全てで1位となった。しかし、前回(2015年)とは地域を入れ替えて参加している。
前回は「北京、上海、江蘇、広東」で参加し、「読解力」10位、「数学的リテラシー」27位、「科学的リテラシー」6位だった。
PISA2018の「読解力」の長期トレンド、原典:国立教育政策研究所
PISAは3分野のうち、どれか1つを重点的に調べる。今回は「読解力」だった。
日本の読解力の長期トレンドは「平坦」とOECDは判断した。つまり、ほとんど変化なし。
読解力では、「①情報を探し出す」「②理解する」「③評価し、熟考する」の3つの能力が測定される。
日本の生徒は、②理解する能力は前回に続き高かった。しかし、①情報を探し出す能力と、③評価し、熟考する能力は低下した。③が低下したのは評価方法が変わったことが影響している。
①を測定する問題で「必要な情報がどのWebサイトに記載されているか推測し探し出す」というものがあるのだが、この問題の回答率が最低で、OECD平均より低かった。これは他の国・地域と比べ、授業でパソコンを使う機会が少ないからである。
情報元:Young people struggling in digital world, finds latest OECD PISA survey - OECD
この件に関する日本のマスコミの報道をみると、日本の生徒の能力が以前より落ちたような報道だが、そんなことは全くない。
少なくとも、OECDは「変化なし」と判断している。
一方、韓国の「読解力」の長期トレンドは下降しているが、なぜか日本のマスコミはこの事実を報道しない。
本当に不思議である。