名古屋大学と九州大学の研究グループは、一滴の水で5ボルト以上の発電をすることに成功した。
MoS2(二硫化モリブデン)を1層(1原子レベル)まで薄くして、プラスチック上に成膜する技術を開発したことにより可能となった。
これまで、グラフェンを用いて同様の発電現象が報告されていたが、その出力電圧は0・1ボルト程度だった。
試作した発電装置、提供:名古屋大学
研究グループが試作した発電装置は、プラスチックフィルム上に二硫化モリブデンを成膜し、両端に電極を形成した構造となっている(上の写真)。
二硫化モリブデンは1原子レベルまで薄くなっており、かつ、均一に成膜されている。
滴から発電する様子、提供:名古屋大学
発電装置は45度に傾けて使用する。二硫化モリブデンの表面を水滴が滑ると発電する仕組みになっている。
水を1滴落とすごとに、5~8Vの電圧がパルス状に発生した。更に、3つの発電装置を直列に接続し、3滴の水を同時に落とすことにより、15Vの電圧を発電させることもできた。
センサデバイスを駆動するのに十分な高い出力電圧を得ることに成功した。
情報元:High output voltage generation of over 5 V from liquid motion on single-layer MoS2 - ScienceDirect
同技術は、様々な環境下での利用が可能である。発電装置はプラスチックフィルム上に形成されるため、柔軟性があり、設置自由度が高い。
自己給電型デバイスへの応用が期待される。
例えば、雨滴で発電する雨量計や酸性雨モニタ、工場排水から発電する水質センサなどである。
今後、楽しみな技術である。