今日は、最高裁判所が外国人は「生活保護法に基づく保護の対象となるものではない」と初めて判断した日だ。
同時に、外国人は「行政措置により事実上の(生活)保護の対象となり得る」とも判断した。
厚生労働省本省庁舎(中央合同庁舎第5号館)、出典:Wikipedia
生活保護とは、生活に困窮する国民に対し、政府が最低限度の生活を保障する公的扶助制度である。
自立を促すことも目的としている。
扶助費の負担率は、国が4分の3、地方自治体が4分の1。
昭和25年(1950年)、生活保護法が改訂され、生活保護の対象者は『国民』とされた。
同法が昭和21年(1946年)に制定された時や、前身の法律である戦前の救護法や恤救規則(じゅっきゅうきそく)に、国籍条項はなかった。
昭和29年(1954年)、厚生省(現在の厚生労働省)は人道的見地から、生活に困窮者する永住外国人や日本人配偶者などの外国人も、生活保護法を準用するとした。
その後、国民(日本人)と同じ条件で給付。
平成2年(1990年)、厚生省は対象となる外国人を永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者、認定難民に限定した。
そして、現在に至る。
平成26年(2014年)7月18日、最高裁判所第2小法廷(千葉勝美裁判長)は「外国人は生活保護法の適用対象ではない」との初判断を示した。4裁判官全員一致の結論。
永住資格を持つ支那国籍の女性(82)が、大分市が生活保護申請を却下したのは違法だとして、同市に処分の取り消しを求めて訴えていた。
1審大分地方裁判所は請求を退けたが、2審福岡高等裁判所は「外国人は生活保護を受給できる地位を法的に保護されている」として逆転勝訴を言い渡していた。
最高裁判所は2審福岡高等裁判所の判決を破棄、女性側の逆転敗訴を言い渡した。
当時、この判決はネットで話題となった。
〇〇新聞が「永住外国人の生活保護認めず」と報道したため、「外国人の生活保護は違法」というデマが保守を中心に拡散された。
それを筆者は冷ややかな目でみていた。
外国人が生活保護を利用できなくなった訳ではない。ただ、不服申立等はできない。
外国人の生活保護は法律上の権利ではなく、「行政措置でしかない」と最高裁判所は判断したのだ。
外国人の生活保護に関しては、行政措置という曖昧な状態が長い間続いている。この状態は良くないと筆者は思う。
認めるにしろ、なくすにしろ、法律で明記した方がいい。
もし外国人の生活保護をなくす場合、相当の危険が予想される。戦後には、長田区役所襲撃事件のような暴動事件も多数発生している。
このような事態に対応するためにも、生活保護の窓口は現在の役所から、警察などに移した方がいい。
どちらにしろ、真剣な議論はすべきだ。